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あの時の自分へ「もうちょっと楽しくやれば?」~宮里優作

プロゴルファーになるためには今なにをしたらいいですか? ジュニアのレッスン会に参加した多くのプロたちが直面する、よくある質問のひとつだ。将来への希望や期待が大きいほど、少年少女の悩みや不安は大きくなるもの。いつだって先人の話は救いになる。ジュニア時代から華々しい活躍を見せてきた宮里優作に「あの時の自分へ」というテーマで、自身のゴルフ少年時代を振り返ってもらった。

「もうちょっと英語をやっておけば良かったな、と思います」と、まずはゴルフ以外の部分でジュニア時代の心残りを語った宮里。メッセージとして言葉を向けたのは、沖縄県の中学校を卒業して、ゴルフ部がある大阪桐蔭高校(大阪府)に進学した16~17歳の自分だった。

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「あのときはマジメ過ぎたので、もうちょっとジュニアらしく楽しくやれば? と伝えてあげたいですね」

ストイックなイメージが強い選手だけに、そのメッセージはちょっぴり意外だった。

「高校のときに親元を離れましたから、心配を懸けないようにしっかりしないといけない、という意識が強すぎたんでしょう」

自ら「マジメ過ぎた」と語った言葉は、ショットやパットの練習だけではなく、トレーニングにもひたむきに向き合っていた学生時代が脳裏にすぐ蘇ったためだ。当時、筋力トレーニングはゴルフ界で重視されていなかったが、ちょうど米ツアーにタイガー・ウッズ旋風が起こり、日本でもアスリートゴルファーという言葉がささやかれ始めた時期だった。

「ジュニアのときに海外に行って、向こうの選手と力の差を感じた」のが、トレーニングのきっかけ。「高校のときもトレーニングして、大学のときも専門的なトレーニングを受けた。しっかりと細かい体の動きなどのトレーニングをしてきて良かったと思っています。体はジュニアからしっかり作っておいたほうが良い。体の基礎ができますからね」と、その当時よりもさらに発達したであろう胸を張った。

冒頭の「ジュニアらしく楽しくやれば?」は、経験することのなかったもう一つの青春に対する憧れといえるかもしれない。だが、海外選手との試合を通じて肌で感じた直感を信じ、マジメ一徹に過ごしてきた学生時代にも決して後悔はないのだった。

結局、アマチュア時代の宮里は「日本ジュニア」2勝、「日本アマ」1勝など主要タイトルを次々と手にした。ツアー初優勝はプロ入りから11年目(2013年「日本ゴルフシリーズJTカップ」)と歳月を要したが、その苦節を支えたのもジュニア時代に積み重ねてきた努力だったかもしれない。

プロ初勝利後は毎年優勝を重ね、今シーズンから国内男子ツアーの選手会長に就任した。名実ともに日本を代表する実力者の一人となった。宮里優作の“あの時の自分”へのメッセージは、プロゴルファーとしての礎を築いた、そんな自負がにじむ言葉でもあった。(編集部・塚田達也)

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