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川村昌弘の「1番アイアン」は30年ものを“ポチっ”と 2位のケニアで大活躍

川村昌弘が前週のDPワールドツアー(欧州男子ツアー)「マジカルケニアオープン」で2位に入った。初優勝を惜しくも逃した大会でにわかに注目されたのが、ラウンド中に使用していた1番アイアン。SNSでも取り上げられたことで世界から反響を呼んだ。

実際に握ったクラブは「ミズノプロ MP-29」。デビュー当時のタイガー・ウッズが使用するなど1990年代に一世を風靡した逸品だ。川村はこのクラブについて「2年ほど前にYahoo!オークション(ヤフオク)で、9万8000円で買いました。こんなのなかなかお目にかかれないと思って」と明かす。言動はまるで巷のクラブマニア…と言わんばかりだが、動機はツアーを戦う上での実益も伴ったものだ。

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1W、3W、5Wの3本のウッドの次に飛距離が出るクラブとして、川村は通常3番以下のアイアンをキャディバッグに入れる。一方で、ロングアイアンよりも幾分やさしく、「使いたい」と思うアイアン型UTが、テストを重ねてもなかなかフィットしないでいる。「アイアン型UTは見た目が好きなんですけど、うまく使いこなせない。簡単に言うと、自分が気持ちよく打ったはずのボールが全部右に流れてしまう」。自身のスイングと、重心距離が長めの“現代の”クラブのマッチングに苦労しているという。

ここ数年はタイトリストのクラシックモデル「T フォージド」の2Iをやはりネットで手に入れ、欧州のツアー担当者に組んでもらって遠征に持参してきた。しかし昨年春にアクシデントが起こる。南アフリカ・ヨハネスブルグ郊外で強盗被害に遭い、スーツケースやキャディバッグを取られてしまった。「持っていかれて一番痛かったのはあのアイアンかもしれない…」

その後、同じモデルを継続的にネットで探していたところ、思い出したのが少し前に手に入れていたこのMP-29。「遊びのゴルフで『意外と打てるな』と楽しんではいたんです」。購入時に装着されていた重量のあるスチールシャフトを、「トゥルーテンパー スチールファイバー」シリーズにスイッチ。もともとウッド型UT(ロフト21度)に挿さっていた110gモデルを、シャフト長を伸ばして2Iの長さにアレンジした。ロフト角も当初の16度から、18度に寝かせている。

川村は春先のアジアシリーズにこのアイアンを持参し、使用機会をうかがっていた。ケニアのムサイガGCは欧州ツアー開催コースの中でも特に地面が硬く、うってつけ。14本の構成に悩んで投入を決めた。「ウッドの3本は替えず、アイアンを“1番、3番、5番”にするか、“1番、4番、5番”にするか迷って。パー3の距離を見て、3番は使わないなと思って、“1番、4番、5番”で行きました」

試合で実際に使ったのは、初日前半12番のティショットが初めて。「まだビクビクしていたんですけど、良い当たりをして270yd先のフェアウェイバンカーに入りかけた」という会心の一打から、4日間を通じて大活躍した。飛距離はキャリーで200yd強そこそこにして、ランを合わせると250から260ydを計算。優勝争いを演じた最終日はティショット、セカンドショット合わせて5回握った。

「昔のアイアンなので、ボールを上げたくても上がらない。でも、自分でも不思議でした。ペラペラと右に曲がることもなく、(ターゲットへの)ラインだけは絶対に出た。本当は今のクラブの方がやさしいはずなのに、自分にとっては古いクラブの方がやさしい。おもしろい発見でした」

悲願の欧州ツアー初優勝には届かなかったものの、2位で得た賞金は20万7866ユーロ(約2944万円)。少々お高いネットショッピングにも、ツアー仲間たちからは「ちゃんと“元”を取ったな」と声が飛んだ。(編集部・桂川洋一)

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