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<番外編・選手名鑑183>米国大統領とゴルフ(後編)

ジョージ・H・W・ブッシュ、ジョージ・W・ブッシュ親子がそろってゲームを見学する場面も。※2012年「ライダーカップ」(Jamie Squire/Getty Images)

■ 4代続くゴルフの系譜 ブッシュ家

今大会が開催されるトーレパインズGCは、08年全米オープンの舞台としても知られる。ゴルファー世界一を決する全米オープンを主催するのは、1894年に創設された米国ゴルフを統括する全米ゴルフ協会だ。ブッシュ家は全米ゴルフ協会と深いつながりのある一族で、第41代大統領(父ブッシュ)の祖父ジョージ・ハーバート・ウォーカーは、1920年に同協会会長に就任。アマチュア最高峰の団体戦である米欧対抗戦ウォーカーカップを創設した。父プレスコット・ブッシュは1935年に会長に就任し、併設ミュージアムを設立するなど、代々ゴルフの発展に寄与してきた。元大統領父子はその流れを受け継ぐ一族だ。父子ともに地盤のテキサス州在住で、PGAツアーのヒューストンオープンなど、同州開催の大会へ観戦に訪れることも度々。父ブッシュは、タイガー・ウッズがホストを務める大会初年には名誉スターターとして駆けつけるなど、長年に渡るPGAツアーへの貢献から、09年に“ライフタイム・アチーブメント賞”を授賞したほか、ゴルフ界の最高賞のほぼ全賞を授賞している。

第43代大統領(息子ブッシュ)は現在もハンディ“10”の腕前を維持。ゴルフを通じ、さまざまなチャリティ活動を行っている。2013年にはユニークなチャリティを支援した。24歳の法律を学ぶ学生が、リスクを抱える子供たちへの支援10万ドル調達のため、カリフォルニアを出発。ゴルフボールを打ちながら荒々しいアリゾナの山を越え、時には野生動物と激闘し、110日後にテキサス州に到着した。こなした総ショット数は約4万8千回。この挑戦は反響を呼び、大成功を収めた。ブッシュ父子の名は、ゴルフのあらゆる話題に絶え間なく登場している。

■ ゴルファーだった!レーガン元大統領

第40代大統領のロナルド・レーガンは、ほかの歴代大統領に比べ、ゴルフのイメージがほとんどなかった。だが、97年5月から8月まで、ホワイトハウスのビジターズセンターで催された「歴代大統領のゴルフ展」に、レーガン氏愛用のクラブやボール、ゴルフを楽しむ写真などが公開されていて驚いた。

ゴルフのイメージがなかったのは、8年間の在任中でプレーしたのはわずか十数回だったから。対照的に当時の副大統領だった父ブッシュ、シュルツ国務長官は、寸暇を惜しんでプレーし、レーガン氏は彼らと一緒にオーガスタナショナルGCにプレーに行ったことはあったが、ワシントンDC周辺の著名ゴルフ場でプレーしたことは一度もなかった。少年時代に父の手ほどきでプレーを始めたが、ゴルフ場は大学進学の学費稼ぎのため、キャディとして働く場だった。俳優時代に再開し、最も熱中したのは企業のスポークスマン時代の8年間で、出張時には必ずクラブ持参でエグゼクティブたちと頻繁にプレーした。高校、大学時代はフットボールや水泳で活躍し、プロスポーツ選手を夢見たほどのアスリートで、生涯ベストハンディキャップは“12”だったという。

大統領に就任後もクラブをいつも傍らに置いていたとのこと、本音はプレーがしたくてたまらなかったのだろう。公開された写真の中には、86年サミットでジュネーブに向かう機中、楽しそうにパットに興じる姿があった。同年の全米オープンに優勝したレイモンド・フロイドからオーバルオフィス(大統領執務室)で、パットのレッスンを熱心に受けたこともあった。大晦日には年に一度の恒例コンペを催し、リー・トレビノトム・ワトソンとのラウンドも楽しんでいた。

バラク・オバマ大統領は、2013年「プレ杯」で勝利した代表メンバーを翌年6月、ホワイトハウスに招待した(Chip Somodevilla/Getty Images)

■ オバマ大統領 退任後はPGAツアーのホストに!?

バラク・オバマ大統領のスタイルはカジュアルで、ポロシャツにコットンパンツ、ベースボールキャップ。もしくは両サイドに大きなポケットのついたカーゴスタイルのショートパンツにサドルシューズが定番だ。陽射しの強い日中には黒のサングラスをかけ、シークレットサービスの鋭い視線に守られながら、昼食もクラブハウスやコースの途中にある売店で、ホットドッグにコーラやスポーツ飲料で済ます。キャディバッグは軽量タイプで、車から自分で担いでクラブハウスや練習場に赴くなど、警護以外はまるで地元の週末ゴルファーだ。

就任当初は課題が山積みであまりプレーしないと思われていた。しかし今では「最もゴルフに夢中な大統領!?」と言われ、就任4年で通算1100時間以上もプレーしていると報道されたほど。重責の日々、体力や英知を養う手段として選んだのがゴルフだった。毎年末の休暇も家族とハワイに帰郷しプレー、さらに週末にはホワイトハウス近郊でプレーする。仲間は政界、財界だけでなく、一昨年はラスベガスで元ニューヨークヤンキースのデレク・ジーターともプレーするなどゴルフ人脈が拡がっている。あまりに夢中な様子に「Bubbaのように転換していってほしい」との声も。Bubbaとは同じレフティのバッバ・ワトソンではなく、愛称Bubbaのビル・クリントン氏のこと。クリントン氏は在任中、“ゴルフ依存症”と揶揄されたが、健康維持とチャリティに生かす方向へ上手にシフトさせた。

オバマ大統領はプレジデンツカップ名誉チェアマンに09年と13年に2度就任済みだが、史上最多の3度目就任の可能性も残されている。クリントン氏の後継として、PGAツアーのホスト有力候補とも囁かれている。ゴルファーとしてのオバマ大統領の今後はいかに?楽しみでもある。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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