PGAツアーのルールオフィシャルが語る スロープレーの撲滅方法は
2014年 フライズドットコムオープン
期間:10/09〜10/12 場所:シルバラードリゾートアンドスパ(ノースコース)(カリフォルニア州)
注目の5ルーキーズ/マックス・ホマ<佐渡充高の選手名鑑 134>
■ いよいよ2015年シーズン開幕!
PGAツアーは今週のフライズドットコムオープンから、2015年シーズンがスタートする。昨年は松山英樹が3位タイと健闘した大会だ。年内は6週に渡って7試合が開催され、約1か月半のブレイクをはさみ、来年1月の第1週から再開する。新シーズンでは注目のルーキーたちがデビューするが、その中から特にホットな5選手をピックアップして紹介していこうと思う。初戦は地元期待のマックス・ホマを紹介する。
■ マックス・ホマに地元の期待はMAX!
今年の開催地はシルバラードリゾートアンドスパ(ノースコース)に変わった。同コースはカリフォルニア州サンフランシスコから北へ車で90分ほどのナパバレーに位置し、ワインの名産地として知られている。コース周辺には小規模の個性的なブティック・ワイナリーが点在し、コース内にはブドウ棚、さらにワイン樽をあしらったティボックスなど、独特の雰囲気があるゴルフコースだ。また11番ホール横にはジョニー・ミラーの邸宅があることでも知られている。
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マックス・ホマ(23)はカリフォルニアのローカルボーイ。1990年11月19日、同州ロサンゼルス都市圏のバーバンクで生まれ、同州バレンシア育ち、大学もカリフォルニア大学バークレー校と、生粋のカリフォルニアンだ。出身大学は1868年創立で、サンフランシスコ郊外バークレー市に本部を置く州立大学で、10校からなる同大学の中で最も古い歴史を持つ。ハーバード大学など、東部の名門私立大学の“アイビーリーグ”に対し、西部を中心とした名門公立大学“パシフィックアイビー”と呼ばれ、同校はそのひとつ。世界の公立大学では長期にわたり1位を維持し、トム・ワトソン、タイガー・ウッズの母校、スタンフォード大学はスポーツにおいて長年のライバル校である。
バークレー校のスポーツチームはフットボール、野球、バスケットボールなどは強豪校として知られるが、ゴルフにおいては著名選手をほとんど輩出していない。それでもカリフォルニアはゴルフが盛んな土地柄だけに、久しぶりに出現した地元出身ホマへの期待と注目は、開幕戦からヒートアップする。
■ 昨年の大会がプロデビュー戦 いきなり9位の大活躍
ホマは昨年大学を卒業し、その後すぐにプロ転向を果たした。プロデビュー戦となったのが昨年の今大会だった。全米学生選手権個人優勝、全米オープン出場など学生時代の功績が評価されてスポンサー推薦で出場し、友人、知人の大応援団の期待に応える大活躍を見せた。優勝のジミー・ウォーカーに5打差の9位と堂々たるプレーぶりだった。4日間トータル1イーグル、22バーディの通算12アンダー。バーディ数はフィールド5位、平均飛距離は310ydでランク7位、最長飛距離は365ydで5位と、大物に成長する予感を漂わせた。
今年フル参戦したウェブドットコムツアーでも迫力のプレーを展開した。18試合に参加し13試合で予選通過。1勝のほかトップ10に3回、賞金ランクは17位で終え、15年シーズンのPGAツアー出場権獲得と、一発昇格を果たした。身長185㎝、体重85kgで体格はツアーのほぼ平均だが、飛距離はウェブドットコムツアーで303yd、ランク22位と上位。イーグル数ではランク8位と、ダイナミックなプレーを続けている。
■ 大親友がホマに遺したスピリット
ホマは大学時代からサプライズなプレーをする選手だった。全米学生選手権で個人優勝を飾った時には、「61」をマークして学生リーグのコースレコードを記録。アマの欧米対抗戦ウォーカーカップでは、ホールインワンを達成するなど、ここぞの局面での集中力はライバルを圧倒する雰囲気を漂わせていたという。ホマは「少年時代はキツイ言葉を発する粗い性格だった」という。しかし、ある出来事をきっかけに大きく変化した。
高校時代からの大親友でバスケットボール選手だったデビッド・ストラウドが、ガン闘病の末、2011年8月に19歳で他界した。親友との突然の別れにホマの心は大きく揺れ動き、以降、ボールにストラウドの背番号「25」を記し、“Stroud Strong”と刻印したブレスレットを身につけるようになった。その理由を「彼と一緒にいられる気がして、穏やかに落ち着いてプレーができる」と語った。さらに大学時代には別人のように変わり、ゴルフ部監督のスティーブ・デシモーネは「チームのスピリチュアル・リーダーだった」と言うほど。ホマは仲間をも穏やかな気持ちにさせ、チームの一体感を引き出す特別な存在になっていた。彼の変化に友人たちは「まるで生前のストラウドのスポーツマンシップが乗り移ったようだ」と感じたそうだ。ホマとストラウドは「各々の世界でナンバー1になる」と誓い合い、練習に励んでいたという。「その約束を必ず果たす」――ホマは固い決意でPGAツアーでのプレーをスタートさせる。
- 佐渡充高(さどみつたか)
- ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。