N.ワトニーが連覇を狙う大会にタイガー、今田も出場
2012年 AT&Tナショナル
期間:06/28〜07/01 場所:コングレッショナルC.C(メリーランド州)
佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第四十二回】
■ 「AT&Tナショナル」の歴史
アメリカの軍隊を讃え、歓待することが目的で2007年に新設された大会だ。07年のオープニングセレモニーにはブッシュ元大統領が招待されティショットを行った。開幕前日の水曜日には「アール・ウッズ メモリアルプロアマ」が開催されるなど、タイガー・ウッズがホストとして加わっている大会だ。しかし、自身のスキャンダルや、昨年4月の「マスターズ」で、再発した左ひざ痛の回復が思わしくないこともあり、2011年は大会を欠場している。
■ 歴代大統領のホームコース
「AT&Tナショナル」が開催されるコングレッショナルCCは、昨年ロリー・マキロイ(北アイルランド)が初のメジャータイトルを獲得したことで記憶に新しい「全米オープン」が開催されたコースである(※1964、1997年にも開催)。ここ、コングレッショナルCCは、大統領たちのホームコースと言われ、ホワイトハウスに関係する人たちがよく使用するゴルフコースでもある。ちなみに、歴代大統領の中では、故ドワイト・D・アイゼンハワーがプレーすることは有名だが、プレーをするたびに、オーガスタナショナルの17番にある左の木を越えることができず、その木は“アイゼンハワーツリー”と名付けられた所以。そして歴代一番ゴルフが上手かったのは、故ジョン・F・ケネディだったと言われている。常に70台でラウンドしていたと言われ、かなりの腕前だったという話もある。最近、そのケネディ大統領が使用していたクラブが、サザビーのオークションにかけられて話題となった。その時にはじめて、彼がゴルフをしていたことが世界中に知れ渡るきっかけともなったのだ。
■ 設計家はデヴァリュー・エメ
コングレッショナルCCブルーコースは1924年5月23日(バック9は1957年にオ-プン)に開場した。コースは全体的になだらかな起伏による曲線美と、樫や楓の大木がプレーヤーを圧倒するほどの風格を醸し出す。設計はデヴァリュー・エメ(1861-1934)で2009年にリ-ス・ジョーンズによって改修された。エメ一族はニューヨークでも著名な一族として知られ、父トーマスは最高裁判事だった。デヴァリューは狩猟犬の飼育が趣味で、春に犬を買いつけロングアイランドで調教し、秋にはその犬をアイルランドに売り、冬はゴルフとハンティングを楽しんでいた。ゴルフでは1904年の「全英アマ」準決勝進出、「バハマ・アマ選手権」では66歳で優勝するなど活躍。1929年にアルフレッド・タルと共同で設計を開始すると、約70コースを手がけた。メリーランド州では唯一コングレッショナルCCを設計(ブルー、ゴールド両コースを1924年に完成させた)。有名なコースにはニューヨーク郊外のペルハムGCがある。
- 佐渡充高(さどみつたか)
- ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。