帰国の石川遼、将来について語る
佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【番外編】
男子プロゴルフの石川遼が今月19日、今シーズン、米国男子ツアーのスペシャルテンポラリーメンバー(STM=特別一時会員)となる登録を完了させるというニュースがあった。STMについてこの番外編で簡単に説明しよう。
■ スペシャルテンポラリーメンバー(STM)とは?
前年の賞金ランク150位の額を超えた時点でスペシャルテンポラリーメンバーというステータスが得られる。さらに言えば、その賞金額を超え、本人が1ヶ月以内に受諾後、申請を行ってはじめて正式メンバーとなる。このスペシャルテンポラリーメンバーは、メジャー大会、世界選手権、プレーオフシリーズ、招待試合を除く試合に出場が可能となる。現在、石川遼が出場している試合のほとんどがスポンサー推薦で、出場限度枠も7試合に限られている。しかしこのスペシャルテンポラリーメンバーになると、7試合という枠が外されて無制限に出場が可能となる。今シーズンが終了した時点で、賞金額が125位以内に入っていれば、正式なツアーメンバーとなり来季のシード権を獲得できる。
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石川選手の場合、今シーズンに出場できる試合数はざっと数えただけでも最大で20試合程度。この数は正式なツアーメンバーと同等、もしくはそれ以上に相当する。また石川選手は、すでに約58万ドル(プエルトリコオープン終了時)を稼いでいるが、昨年の実績を例に挙げても、125位の賞金額は約67万ドルとすると、あと8~9万ドルを獲得すれば125位の賞金額の目処がついてくる。しかもこの9万ドルという額は、トップ10が1回(10位タイでもOK)、もしくはトップ20が2回で達成できる額であり、来年のシード権獲得は非常に現実味を帯びてきているのだ。
「プエルトリコオープン」で単独2位フィニッシュできたのは、非常に素晴らしいことだと思う。「WGCキャデラック選手権」の出場資格が得られなかったのは残念だが、そういう巡り合わせになったのも、石川選手の運によるものだ。与えられたチャンスを活かせる選手、活かせない選手がいる中で、彼はそのチャンスを見事に活かした。目標はあくまで“初優勝”なので、この結果はその目標に向けての弾みとなれば良い。できれば今週の「マスターズ」で予選を突破し、この金額を超えることができれば理想的な流れだ。「マスターズ」が終われば国内での試合がスタートするので、シード権を決めて、あとは自由にプレーをする、そうなれば最高のパターンかもしれない。
- 佐渡充高(さどみつたか)
- ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。