W.シンプソンが今季2勝目! 「FedEx Cup」ランクトップに浮上
2011年 ドイツバンク選手権
期間:09/02〜09/05 場所:TPCボストン(マサチューセッツ州)
佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第十一回】
佐渡さんが見てみたいと思うプレーオフ対決はありますか?
全盛期のタイガー・ウッズとジャック・ニクラウスですね。タイガー・ウッズの時代と、ジャック・ニクラウスの時代って道具がまったく異なっているんですよ。例えばクラブやボールの性能を比較してみても、ニクラウスの時代は、はるかに悪かったですからね。今はいろいろな開発が進んで良くなっています。タイガーは、もうすぐニクラウスの記録を抜く、抜かないのところまできており、またタイガーにとっては、ニクラウスの記録「メジャー18勝と73勝」を塗り替えることが一つの目標でしたからね。タイガーは現在71勝で、あと2勝でニクラウスの記録に並ぶ。そんな2人が果たしてどっち強いのか・・・知りたいですね。今となってはさまざまな条件の違いで比較できないですからね。実績から言えば、ニクラウスの方が上。ただ、タイガーにあのようなスキャンダルがなければ、とっくにニクラウスの記録を抜いていたかもしれない勢いがあったし、力を持っていました。どっちが強いか、プレーオフというよりも、36ホールのマッチプレーを戦うところを見てみたい。もしくはタイガー・ウッズをタイムスリップさせてジャック・ニクラウス全盛期の時代に送り込む。どっちが強いか、年間の勝負で見ることができたら面白いですよね(笑)
ジャック・ニクラウスはどんな選手だったのですか?
とてもすごい、偉大な選手でしたね。ニクラウスが出てきたときの衝撃と、タイガーが出てきた時の衝撃は本当に圧倒的でした。ニクラウスは、当時の他の選手と比べてみても、飛距離もでたしパワーもあったし、アイアンショットも抜群にうまかった。それはタイガーも同様でしたよ。アマチュアでPGAツアーに入ってきても、周りの選手より飛ばしていましたね。タイガーがプロ転向した時に、彼よりも飛ばす選手はジョン・デーリーしかいませんでした。他の選手を20~30ヤード置いていくほどの飛距離が出る選手でしたね。ニクラウスが出たときもそうでした。やはり飛距離を出す選手というのは魅力でもあるし、武器にもなります。よりパワーがあるほうが、ファンも見てみたいと思いますしね。ニクラウスが出て来はじめた頃も、タイガー同様に、周りの選手がみんな彼に追いつこうと、いろいろな練習を始めたりしていました。飛距離で言えば、今PGAツアーの平均飛距離は291ヤード。1970年~1980年代にダン・ポールという飛ばし屋の選手がいましたが、それでも一番飛ぶ選手で270ヤードくらいですので、今は20ヤードも伸びている。それを考えると道具も、選手のパワーも格段にあがってきましたね。
現ツアーで戦う選手の中で、見てみたいプレーオフ対決はありますか?
ロリー・マキロイとリッキー・ファウラーの20代前半の対決ですね。ファウラーは最近勝ちに恵まれていなくて、というよりもここのところ、初優勝のチャンスはあったものの逃してしまいましたが、とても力を持っている選手ですし、マキロイも同様に勢いがある選手です。私個人的には、マキロイは世界一になる選手だと思っています。あれだけパワーがあって、安定感があって、メンタルの強い選手はそうはいません。全米オープンで勝って、メジャー初制覇を遂げていますから、このあとも勢いに乗っていくかもしれませんね。それに対し、ファウラーは優勝こそしていないけれど、遜色ない存在だと思います。ドライバーショットからパッティングまで、非常にアグレッシブさがあるので、彼のゴルフはすべてがかみ合った時はすごいと思います。もちろんそういうアグレッシブなプレーをする反面、ミスもありますがそこも魅力の一つ。ぜひ見てみたいですね。
- 佐渡充高(さどみつたか)
- ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。