今田は62位タイでスタート!A.スコット、H.ハースが首位に並ぶ
2011年 AT&Tナショナル
期間:06/30〜07/03 場所:アローニミンクGC(ペンシルバニア州)
佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第二回】
2011/07/01 12:05
PGAツアーと日本ツアーの違いはどんなところですか?
違いと言えば、まずはコースに入った時の美しさでしょうか。日本とアメリカではランドスケープ(地形)の問題が大きく異なります。日本は山岳コースが多い一方、アメリカはさまざまで、山岳コースやフラットなコース、フロリダにいくと池が多かったり、セントルイスのように標高が低い地域では、陸地よりも水面が多いコースだったり・・・コースのバリエーションが異なります。アメリカは同じ大陸内でも3時間の時差があり、南北の距離もあります。こうした気象条件のもと、地形、樹木や生息物、コースも全く異なり、そういった見えないものが、美しい雰囲気を醸し出しているのです。
アメリカは芝が違うといいますが、どう違うのでしょう?
いま言ったような気象条件の違いから、アメリカでは何種類もの芝を使わざるを得ません。日本のシーズンは暖かい時期から始まるので、グリーンはベント芝が主ですが、フェアウェイには日本特有の姫高麗(こうらい)が使用されています。一方、PGAツアーはハワイから始まりますが、ハワイには独特のバミューダ芝というのがあります。バミューダ芝にはさまざまな種類がありますが、ハワイの気候に影響され、芝目が強く出ることからグリーンは非常に難しいのです。マウイ島のカパルアでは、山肌のような高低差のあるところだと、芝目は低い方(海の方向)に向かう癖があったり、夕方になると逆に太陽の方向に向いたり・・・でも法則通りに動かないものもあるので難しいのです。そんな芝は日本にはあまりないですよね。
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続くカリフォルニアシリーズはポアナという芝で、“雀の帷子(スズメノカタビラ)”と言われているものです。これは北極でも観測されるほど繁殖力が強い芝で、もともとはベントグリーンでも、しばらくするとポアナに浸食されてしまうことが多いです。そして、サンディエゴのトーリーパインズやリビエラには、キクユ芝という種で、野芝を強くした、まるで剣山の上を歩いているような堅い芝があります。その中にボールを入れたら脱出は困難になりますね。そういう難しさがあるんです。カリフォルニア州でも内陸に入ると、「ボブホープクラッシック」が開催されるパームスプリングスは砂漠で、グリーンはベント、フェアウェイはライグラスが使用されています。芝の種類、芝の刈り方によって、同じカリフォルニア地域でも難しさは違ってくるんです。
フロリダはバミューダ芝が使われ、風が強く、樹木はやしの木、そしてフロリダでも内陸に入れば蒸し暑い気候と、バリエーションが豊富なので、選手たちの対応能力が重要となってきます。
欧州ツアーもさまざまな場所で開催されていますね。
欧州ツアーはアメリカよりも厳しいですね。北半球でも、より北に位置しているので、寒くて風も強い、また天気が変わりやすいですね。特にドーバー海峡を越えると厳しく、イングランド、スコットランド、ウェールズ、スウェーデンでのプレーはとても困難だと思います。環境が選手を育て、はぐくむ。そういう環境の中で、どうやってスコアをまとめようかと努力するので、当然強い選手が出てきます。
ギャラリーも違いますか?
そうですね、ギャラリーも違いますね。アメリカ人はスポーツエンターテイメントの楽しみ方を知っています。日本人はトーナメントでは気持ちを抑えているのか遠慮がちな印象を受けますが、素直に心から楽しめるのがアメリカ人ですね。ギャラリーのノリ、盛り上がりも違いますね。
- 佐渡充高(さどみつたか)
- ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。