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ハワイにも寄付 PGAツアー選手のチャリティ精神の証明と源泉
各大会に莫大な賞金がかかるPGAツアーを戦うプレーヤーは社会貢献活動も盛んに行っている。ツアーのChuah Choo Chiang氏によるコラムは今回、アジアにルーツを持つトップ選手たちのチャリティを紹介。8月にハワイ・マウイ島で発生した山火事による被災地への支援にも積極的な様子を記した。
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PGAツアーのスローガンである「These Guys are Good」は、類まれなゴルフの技術と才能を披露して毎週輝くスターたちを適切に表現している。彼らは大きな心を持った、人間的にも素晴らしくあるべき選手たちだ。
長きにわたって、PGAツアーの各大会と選手たちはチャリティ活動を支援してきた。地域社会と関わり、環境や医療への活動、あるいは過小評価されがちなコミュニティに光を当てている。何百万人ものファンから愛されているゴルフというスポーツを通じて、ツアーはポジティブな影響をもたらしており、慈善活動で募った額は36億4000万ドル(約5400億円)を超える。多くの選手たちの手でこの額はさらに増えていくことだろう。
100人近くが死亡し、地域社会を壊滅に追い込んだハワイ・マウイ島での山火事を受け、コリン・モリカワは救援活動のための募金活動を主導した。彼の祖父母は当地出身である。
夏場のフェデックスカッププレーオフ(全3戦)の前に、1つバーディを決めるごとに1000ドル(約15万円)を寄付することを決め、46バーディ・1イーグルで4万8000ドル(約714万円)を募金。彼の行動によってあるスポンサーは5万ドル(約747万円)をすぐに寄付し、他のスポンサーもそれに続いた。
マウイ島はモリカワにとって特別な場所であるだけでなく、毎年1月、新年最初の大会(セントリートーナメントofチャンピオンズ)を開催している。復興のための支援活動は今も続いており、タイトルスポンサーとPGAツアーはそれぞれ25万ドル(約3735万円)を寄付した。
当地に親戚が住んでいたモリカワは今回の衝撃的なニュースを悲痛に受け止めた。近親者にけが人などはいなかったが、かつて家族でレストランを営業していたこともあり、夏のあいだ、何度も訪れた場所だ。「(自分の周りは)大丈夫だと思うけれど…。多くの人が亡くなったニュースを知って言葉を失った。子どもの頃に行ったところが壊滅的な様子だった。人生で当たり前のことだと思っていることがどれだけ多くあるか。胸が張り裂けそうだ」
ツアー7勝のザンダー・シャウフェレも幼い頃、数年間ハワイで過ごしていた時期がある。父がゴルフの指導者として仕事をしていたためだ。彼は自身の財団で最大10万ドル(1488万円)を寄付し、最終的には40万ドル(約5977万円)を集めることを目標にしている。
「PGAツアーはギビングバック(恩返し)が普通のこと。手を尽くすのは自分の責任だと感じた。コリンが先導し、僕も困っている人々を助けたいと思った。大好きな場所だし、何人かとメッセージをやり取りしたが、壊滅的だと言っている。できるだけ多くの額を募りたい」
今回のマウイの一件にとどまらず、アジアに繋がりがあるトッププレーヤーによる社会貢献は他にもある。「東京五輪」の銅メダリストである台湾のC.T.パンは、自身の財団を通じて開催しているジュニアのゴルフ大会や台北での夕食会によって、重度の発達障がいを持つ子どもたちを支援。5年間で2000万台湾ドル(約9230万円)を集めた。
また、自分がワシントン大を卒業してPGAツアーに飛び込んだように、台湾出身のジュニアが米国の大学を経てツアーに参加できるための道筋づくりも行っている。ジュニアプログラムの実施や奨学金の設定、若いゴルファーのためのトレーニングキャンプにも投資を惜しまない。「アスリートの僕たちはいくらかの影響力を持っている。その力を恵まれない人々に使いたいといつも思っている」とパンは語る。
「ゴルフは世の中の力になる」と言われる。モリカワやシャウフェレ、パンのような選手たちは、ツアートーナメントが勝つことだけを理由に行われているわけではない、ということを証明している。