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トニー・フィナウが擦り切れたパターグリップを愛用する理由
こと用具となると、トニー・フィナウはあまり変更することを好まない。確かに、彼は状態が良くない方向へ進み始めると、ホール間でボールを別のマーキングのものに替えるのだが、クラブに関しては、自分がよく知るものを使い続けることを好むのである。
直近に出場したPGAツアーの2大会(3Mオープン、ロケットモーゲージクラシック)で連勝したこともあり、仮に今後フィナウのバッグの中身に変更があったとしても、微々たるものとなるだろう。今週でレギュラーシーズンが終幕する中、彼はフェデックスカップのランキングで7位と、コムキャストビジネスツアートップ10入りを狙える位置につけている。
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フィナウが2016年から使い続けているナイキ ヴェイパーフライプロのドライビングアイアンは、彼の忠誠心の好例である。ヘッド自体はオリジナルのヘッドを6年使い続けた末に、ついに摩耗して使えない状態となったため、新しいものに交換しているが、彼には別のモデルに乗り換えるプランはない。
「僕はこれが6、7年持てば…と思っているんだ」とフィナウは今年、GolfWRXに語っていた。「予備はあと1本しか持っていないけれど、それも6、7年使うことができればと思っている」
ただし、フィナウは昨年優勝したフェデックスカッププレーオフ初戦の前に、初めてピンのパターに変更した。カスタムモデルのPLDアンサー2のプロトタイプヘッドは、彼の好みに合わせて制作され、シャフトには黒いガーセン アルティメットグリップが装着された。このグリップは、三面をフラットにすることで、左右の手のひらが互いに向き合い、両手首がニュートラルになるように設計されている。
同社の創始者、バーナード・ガーセンによると、フィナウは三面のガーセン アルティメットグリップを7、8年使っているという。
ピレッティのパターでは緑色のグリップを使っていたが、昨年から使用するカスタムのピンPLDアンサー2には黒いグリップが装着されている。このグリップには、すでに摩耗や擦り切れた部分が見られるものの、フィナウはグリップを替えない。
選手たちは、特にパターとなると、グリップにこだわりを持っている。フィナウもまた、両手に一貫した感触を持ち続けることを望む選手である。一流のツアープレーヤーは一瞬で交換用のグリップを使うことができるにもかかわらず、同じグリップを使い続けている。そしてパターグリップをなかなか交換しないのは、彼だけではない。昨年の「ライダーカップ」におけるハリス・イングリッシュもそうだった。
実は「3Mオープン」の開催週は、同日にブルック・ヘンダーソン(カナダ)も同じグリップを使用して「エビアン選手権」でメジャー2勝目を挙げ、同社にとって格好の宣伝材料となった。フィナウのバックアップ用パターには、緑と黒のガーセン アルティメットグリップが装着されており、これにはトニー・フィナウ財団のロゴがプリントされている。ガーセンはフィナウの黒いアルティメットグリップを複製するため、カスタムの緑バージョンを開発し、この収益の一部はトニー・フィナウ財団へ回るようになっている。
しかしながら今のところ、いよいよボロボロに朽ちるまで、フィナウは黒いバージョンを使用するだろう。「トニーはとにかくシンプルな男なんだ」とガーセン。「変えることがあまり好きではなくて、“それには触らないで。ちょっかいは出さないで”みたいな感じでいるよ。かなり擦り切れていて、はがれ落ちそうになっているんだけど。間違いなくかなりの個性がある」
「3Mオープン」と「ロケットモーゲージクラシック」を連勝したフィナウがグリップひとつに固執することを誰も責められるはずがない。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)