「全米プロゴルフ選手権」リーダーボード
2022年 全米プロゴルフ選手権
期間:05/19〜05/22 場所:サザンヒルズCC(オクラホマ州)
トーマスがスコッティキャメロンのプロトタイプで「全米プロ」へ
ジャスティン・トーマスは先週の「AT&バイロン・ネルソン」での5位フィニッシュを経て、サザンヒルズへとやって来た。上位フィニッシュという結果以上に期待を感じさせたのは、彼のグリーン上でのパフォーマンスだった。トーマスはスコッティキャメロンのプロトタイプを初めて実戦投入した同試合において、ストローク・ゲインド・パッティング部門で20位に入ったのである。
トーマスは1年以上優勝から遠ざかっているものの、フェデックスカップで現在15位にランクインしている。「全米プロ」2勝目を狙う今週のサザンヒルズでは、パターも大いにカギを握るはずだ。
<< 下に続く >>
「AT&Tバイロン・ネルソン」でトーマスは1ラウンドあたりグリーン上で0.8ストロークを稼いだ。これは彼にとって2月以降ではベストのパフォーマンスであり、今季を通じて2番目に良い数字だった。トーマスは卓越したアイアンショットで知られており、過去5年はストロークゲインドアプローチ(グリーンを狙ったショット)で6位以内から外れたことはない。しかし、ここ最近の彼はバーディチャンスをものにすることに苦しんでおり、過去3年はストローク・ゲインド・パッティングでトップ100圏外。今季も82位にいる。
トーマスのパターは以前、昔ながらのブレードスタイルで、伝統的なプランバーネックのニューポート2パターでPGAツアーのキャリアをスタートさせた。2015年「CIMBクラシック」でツアー初優勝を飾った際も、そのパターを使っていた。
その後のPGAツアー14勝のうちの13勝は、彼が2016年の夏に実戦投入したスコッティキャメロンのX5マレットで飾った。このマレット型は短いネックで、デュアルウィング形状をしている。
トーマスにとって最高のシーズンとなった2017年はこのパター変更後のことであり、同年、彼はメジャーとフェデックスカップで初制覇を果たすなど、5勝を挙げた。2020年にスコッティキャメロンはトーマスとのコラボレーションで、ファントムX5.5パターをリリース。2020本に限定して一般販売した。
当時、トーマスと彼のパターは切っても切れない間柄に見えた。しかしながら、この関係性は彼がわずかに異なるパターを実戦投入した昨年の「全英オープン」で終止符が打たれた。新しいスコッティキャメロのT5パターヘッドのデュアルウィング形状は、それまでの彼のパターとほぼ同じ見た目をしていたが、ネック形状が短いスラントネックから、長めのプランバーネックに変わっていた。“ナックル”構造と呼ばれるカスタムのホーゼルは、短いシャフトがホーゼルの上下に溶接されたつくりになっている。この構造により、パターは加重し過ぎることなく、長さを伸ばすことが可能となった。
トーマスがこの新しいパターを使用した期間はごくわずかだった。2021年末には、彼は13勝を挙げたファントムX5に戻したのである。
しかし、トーマスは「AT&Tバイロン・ネルソン」でこれまでのパターに若干の改良を加えた新しいT5を持ち込んだ。WRXはこの唯一無二のスコッティキャメロンT5プロトタイプは何が違うのかを確かめるべく、スコッティキャメロンのツアーレップであるドリュー・ペイジに話を聞いた。
ペイジ曰く、トーマスの新しいT5プロトタイプには、彼が長年使用したX5よりも滑らかなフェースミリングが施されており、シルバーのナックルネックに加え、バックキャビティにアルミのプレートが配されている。新しいナックルネックはクロムメッキ加工のシャフトが使用されているため、光沢が抑えられている。アルミのプレートはトーマスが昨年の「全英オープン」で初めてこのパターを試した際のリクエストを反映させるべく、インパクト音を調節するために配された。
「彼は昨年の全英オープンの前にナックルネックを使い始めた」とペイジはGolfWRXに述べた。「その後、彼は我々に対し、何が気に入り、何が気に入らなかったのかというフィードバックを与えてくれ、我々はそれを作り出すことができたのです」。ペイジによると、新しいカスタムネック設計により、トーマスはストローク全体を通じて、より安定感を得ることができるという。
「ヘッドがオープンからクローズになる比率、ラインにのせることに関して一貫性が高まった」とペイジ。「彼はストロークを通して、それを感じられるようになりました。選手にとって重要なのはストロークを通じて集中し、感覚と一致させること」。
また、トーマスがX5からT5に換えた理由のひとつには、スコッティキャメロンがすでに前者を製造していないことがある。トーマスが引き続き旧モデルで試行錯誤するには、X5ヘッドの在庫を大量に持っておく必要があるからだ。
「彼自身が『いいよ、今あるT5で行ってみよう』という感じだったのです」とペイジ。「彼は新しい製品を試すのを拒みません。現行の製品であれば、ヘッド形状やそのシリーズの新しいヘッド、あるいはネックを別の物に変えたくなったときも、品切れにならないことを理解しているのです」
トーマスは今週オクラホマ州タルサのサザンヒルズで開催される「全米プロ」でも、T5プロトタイプを引き続き使用する見込みだ。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)