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2021年 AT&Tペブルビーチプロアマ
期間:02/11〜02/14 場所:ペブルビーチGL ほか(カリフォルニア州)

ジョーダン・コレクター ゴミ箱から始まったパット・ペレスと“神様”との物語

44歳のパット・ペレスはPGAツアーで3勝の実力だけでなく、その風貌でも人気者だ。フラットキャップから出る長髪を振り乱し、コース内外で気ままに振る舞う。特にゴルフシューズとしても愛用している「ナイキ エア ジョーダン」収集の情熱はゴルフ界屈指。世界最高峰のツアーで戦う選手によるオリジナルコラムは今回、ペレス自身が“神様”マイケル・ジョーダンとの関係について綴った。

■パット・ペレス著

中学生の頃、僕らはみんな「ジャンプマンIV」(ナイキ エア ジョーダン4)のバスケットシューズが欲しかった。けれど、当時はジョーダンを買う余裕なんてなかった。

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そんなある日、学校で僕の知り合いが古くなったジョーダンをゴミ箱に捨てたのを見たんだ。拾って、試しに履いてみると僕の足のサイズにぴったりだった。家に持ち帰って、きれいにした。誰もが欲しがっていた、白とセメントグレーのシューズ。それが僕にとって初めてのジョーダンだった。

30年以上前のあの瞬間から、壁一面にスニーカーをコレクションし、マイケル・ジョーダンの番号が自分の携帯電話に表示されるようになった今日までの出来事は決して色褪せることはない。そして当たり前と思うこともないだろう。

2016年に肩の大出術をした。41歳でマレーシアでの「CIMBクラシック」(2017年)で優勝したとき、マイケル・ジョーダン(MJ)が連絡をくれて「おめでとう」と言ってくれた。「必要なことがあれば知らせてくれ」と彼は言ってくれたから、すぐにシューズをお願いした。この扉を開けてから1年経たないうちに、僕はジョーダンチームの一員になった。

それから共通の友人を通じてMJに会った。それまで彼が通り過ぎるのを見ることはあっても、他のブランドアンバサダーと一緒に、夏にモナコへ行くなんてことは別次元の話だった。みんなと同じ環境にいて、「#23」と一対一で同じ時間を過ごすなんて夢のようだった。彼を困らせないようにしつつも、メッセージを送るとすぐに返事をくれる。ここ何年かの間に起きたことすべてを、説明したとしても若い頃の自分は信じないだろう。

マイケル・ジョーダンとの出会い

モナコへの旅は一生に一度のものだった。デッキに座って、シガーを吸い、レジェンドとテキーラを飲み、あの旅のどの場面もどの経験も衝撃的だった。

もっと嬉しかったのは、MJは実際に最高の人柄で、クールで、温かく迎えてくれる人だったということ。ヒーローに実際に会うと、ときどき残念なこともあるだろう。でも、MJは真逆だった。

PGAツアー入りしてからジョーダンのシューズを集め始めた。最近は中古市場も充実していて、僕が大好きだった昔のモデルも簡単に追えるようになったからね。

もともと、僕はMJが現役だった頃に収集を始めた。立ち止まって、よく考えてみると常軌を逸した趣味かな。コレクション用のスペースを作るため、僕のオフィスを2回もリノベーションした。オフィスにはジョーダンが海のように美しくに並んでいる。

ちゃんと把握しているわけではないんだけれど、おそらく1000足以上あると思う。ジャンプマン(エア ジョーダンの制作)のスタッフがいろいろと送ってくれるから数はさらに増えるだろうね。カウントしきれないよ。宅配便の車が来ると、僕はクリスマスを迎える子どもみたいになるんだ。

妻のアシュリーが僕の趣味に好意的なことはありがたい。彼女は僕の趣味が最高にカッコいいと思ってくれている。ゴミ箱の中から靴を拾った少年が今や、自分の名前が靴のブランドになっているアイコン的存在と知り合いで、さらにジョーダンのブランドアンバサダーになったということを彼女はスゴイと思ってくれる。

コレクションで特別なものの1つはジョーダンIV「ウォルバーガーズ」というモデル。数年前、僕が「ジェネシス招待」でロサンゼルスにいた時、マーク・ウォールバーグ(俳優)が驚かせてくれた。僕らを夕食に招待してくれて、このモデルをくれたんだ。本当にレアなモデルだから驚いたよ。

ぺレスが履くジョーダンのゴルフシューズの発端は

数年前にリリースされたレトロ「フルゲーム」を探していて、トラビス・スコットのスニーカーも手に入れた。とはいえ、チームが僕のために作ってくれた「セメントIV」のゴルフシューズは何よりの意味がある。ちなみに、最初のモデルは今、カスタムゴルフシューズで世界に2足しかない。この靴は手放せないんだ。

「セメントIV」ゴルフシューズがどうやって誕生したか、よく聞かれるんだ。出来上がりまでの経験がどれだけ自然な流れだったかと振り返るとクレイジーだよ。

モナコでポーカーをしていたとき、MJがシガーを吸いに外に出ると、僕もテキーラを持って来るように誘われた。あの時、僕は繰り返し「IV」がどれだけ好きか、そしてゴルフシューズがあったらどんなに最高かって言った。すると彼が「じゃあ、IVを作れば」って言ったんだ。僕がどういうことか尋ねると、ジェントリー(・ハンフリー/ジョーダンフットウェアのバイスプレジデント)に話すように言われ、それで「出来上がった」。

ジェントリーの動きの早さにはついていけなくて…。僕が頭で理解する前にもう動き始めていたんだ。2週間以内にはセメントIVゴルフシューズが2足、家に届いた。伝説の男の魔法と、その傍にいる男とでゴーサインが出ると簡単に物事が進むものだ。

僕はビル・マリー(俳優・コメディアン)とも親しくて、彼とも何年かかけて友人になれたのは本当に夢のようだ。2015年頃には彼のブランドが軌道に乗り、お世話になっている。

ブランドを通じて親しくなり、ペブルビーチのプロアマでペアを組んでいると、ここ数年のすべての経験がどんなにすごいことかと感謝させられる。履き古されたスニーカーをゴミ箱から拾うような僕に、こんな日が来るとは夢にも思わなかった。

情報提供:PGA TOUR

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