最終盤までボギーなし 渋野日向子「落ち着かない感じだった」
「日本のゴルフ愛を感じた」コリン・モリカワ 彼女の話、家族の話
23歳のコリン・モリカワはすでにPGAツアーで3勝し、8月の「全米プロゴルフ選手権」でメジャーチャンピオンにも輝いた。世界最高峰のツアーで戦うトッププレーヤーが記すスペシャルコラムは今回、モリカワ自身がツアーや自身のルーツについて記した。日本、中国の血を引く米国人である新星は、若くしてしっかりと地に足をつけている。
■コリン・モリカワ著
2020-21年シーズンが9月に開幕して、最初の2試合はタフな出だしを経験した。「全米オープン」と「シュライナーズホスピタルズforチルドレンオープン」で予選落ち。「全米プロ」での勝利であらゆるポジティブな要素を手にしたけれど、だからといって物事のすべてが自動的に好転するわけじゃない。ここ数週間で、そう実感したんだ。
<< 下に続く >>
確かにいま、僕はメジャーチャンピオンだ。だけど、引き続き良いゴルフをしなくてはいけないし、ツアーでプレーしている選手たちは本当にうまい。だからこそPGAツアーは素晴らしいツアーであり、誰もがいつ優勝してもおかしくない。僕は常に準備に専念しなくてはいけないし、リズムをつかめるよう力を注がなくてはいけない。
僕は“フツウの23歳”よりも大人びていると確かに思う。でも、自分でそう思うようにもしている。分別があるように、子どもっぽくならないように。どうしてそうなったのか、両親の教育でそう考えるようになったのかは分からないけれど…。
周りには自分を正しい道に導いてくれる素晴らしい人たちがいてくれて、僕はとてもラッキーだと思う。長年のコーチであるリック・セシングハウスは精神的にも大きな影響を与えてくれる人で、メンタルコーチでもある。もう15年、彼はスイングとフィジカル面をメンタルに掛け合わせることに専念してきた。1つがうまく機能しても他の要素がダメなら、最高のゴルフは一貫してできない。プレーを向上させるために自分に合う方法、自分の頭の中に残る言葉を見つけていこうと考えている。
■大学時代からのガールフレンド
ガールフレンドのキャット・ズーも大きな存在だ。彼女もペパーダイン大学で学生ゴルフを経験している(モリカワはカリフォルニア大学バークレー校)から、他のみんなと同じようにゴルフの難しさを理解している。
去年の夏、彼女は僕がシードを持っていなかった時期にずっと一緒にツアーを回ってくれた。彼女がいなければ、僕は会ったばかりのキャディと2人で行ったこともない場所を回らなくてはならなかった。彼女が気持ちを楽にさせてくれたから、寂しくなかったね。ラウンドの前後は彼女がゴルフのことを忘れさせてくれた。コースにいる時もリラックスしてゴルフを楽しむことができたんだ。
そして、両親のブレインとデビーは、僕の望んだすべてを与えてくれた。こんな家族のもとで育てられて、これ以上幸せなことはない。僕はとてもラッキーで人生に彼らがいてくれてありがたいと思う。他人を敬うことを教えてくれたのは大きい。両親はみんなに対して敬意を持っていて欲しいと願っている。誰といようが、誰が周りにいようが関係ない。その人が誰なのか、どんなことを経験してきたのかなんてわからない。他人を敬うことが大切だと小さな頃から両親に教わった。
■日本での「ZOZOチャンピオンシップ」に感動した
僕は米国人だし、米国の代表であることに間違いはない。けれど、昨年「ZOZOチャンピオンシップ」で日本に行くことができたのはとっても良かった。PGAツアーのいつもの大会よりも、僕に目を向けてくれる人々に会えた。僕の父はハワイ出身の日系米国人で、母はカリフォルニア出身の中国系米国人。日本のファンの皆さんは僕に親近感を持って、そこにプライドを感じてくれていた。日本の皆さんは自分たちに近しい人間によるPGA ツアーでの成功を目にしてくれたと思う。
あんなファンに僕は出会ったことがなかった。1番ティに列をなして、その後、各ホールでティショットがどこに行こうが拍手をしてくれた。日本でゴルフに対しての愛を感じられて本当にうれしかった。彼らはゴルフを愛している。選手としては、会場で楽しんでいるファンの、ああいう反応を見ていたい。
僕は米国人で、それを大いに大切に思っている。だけど、(国籍を問わず)周りが僕に注目してくれて、さらには僕をロールモデルとして見て、彼らにインスピレーションを与えられたら最高だ。まだ23歳だけど。でも大きな意味を成すことを僕はすでにやり遂げた。それはしっかりと受け止めようと思う。自分の置かれた状況を理解して、楽しみたい。若い人たちは楽しい時間を過ごしたいと願っているし、僕も同じ気持ちだ。だから、僕がコースでどれだけ楽しんでいるかを示すのはとても大切なんだ。
ゴルフに限らず、自分たちが愛することに熱中するよう、みんなにインスピレーションを与えること。これが僕の目標。夢は大きく、その夢に向けて突き進め―――。