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デシャンボーのもうひとつの主要武器「パター」を徹底解剖

コンベンショナル、クロスハンド、アンカリング、クローグリップ、サイドサドル。PGAツアーで見られてきたパッティングのスタイルは枚挙にいとまがない。プロはパッティングの向上には労を惜しまない。

新たなテクノロジーが紹介されると、我々はボールをホールに入れる方法は何万通りもあることに気付かされる。パッティングは芸術とみる向きもあるかもしれないが、科学が選手たちを向上させることもできる。

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アームロックスタイルは最新のアイディアではないが、それなりのパターを最高のそれへと変貌させたやり方であり、その有効性は少し前に「全米オープン」で“PGAツアー常駐物理学者”のブライソン・デシャンボーがいかんなく発揮した。彼の驚異的な飛距離アップが最も注目されたが、それによりアームロック式パターで得た見事な成績に関するストーリーはかすんでしまった。彼は昨季、ツアーのストローク・ゲインド・パッティング(パット貢献度を示す指標)で10位にランクインしている。

アームロックは使用者であるデシャンボー、ウェブ・シンプソンマット・クーチャー、そしてキーガン・ブラッドリーによってその有効性が証明されている。長く伸びたパターシャフトに飛球線前方の腕をつけて手首を固定することで、プレーヤーはより大きな筋肉でパターアークを操作することが可能となる。

アンカリングが禁止となり、選手たちが愛するお腹と長尺パターを失ったことで、アームロック式でプレーする選手の数が増えた。この方法により、シンプソンやブラッドリーといった選手たちは、勝利から遠ざかった長い期間を経て復活優勝を遂げ、キャリアを甦らせた。

デシャンボーはツアーのストローク・ゲインド・パッティングが145位だった2017年にアームロック式を取り入れ始めた。その年の後半に、この方法へ完全に転向し、以降はパッティングの成績を向上させ続けている。18年のランキングは32位、19年は28位、そして昨季は10位にランクインした。

この転向は奏功したといって過言ではないだろうし、25ポンド(約11.4kg)の筋肉と同じくらいの効果があったと言ってもいいかもしれない。

以下はデシャンボーのパターの仕様、そして、GolfWRXと彼が使用するパターのメーカー「SIK」のタイラー・フィンリー広報部長とのQ&Aである。

パター:SIKプロC(アームロック)
アライメントライン:ブラックフランジ
シャフト:LAゴルフ2CL-180
長さ:43インチ
ロフト:6度
ライ角:78度
ヘッド重量:380グラム
ホーゼル:.580
グリップ:ジャンボマックス17インチ

GolfWRX:ブライソンとの関係はどのように始まったのでしょうか?

フィンリー:ブライソンはフライトスコープ(弾道計測器)を使っていて、彼の技術者を担当しているアレックス・トルヒーロは、我々の友人だったのです。ブライソンはグリーン上でかなり苦しんでいて、アレックスはブライソンのコーチであるマイク・シャイに、我々の「下降ロフトテクノロジー」(編注:同社のパターフェース技術)に関するイメージを伝えたんです。2017年の「ホンダクラシック」で予選落ちした後、マイクはブライソンにSIKなら助けてくれるのではと提案しました。彼は大会のレンタカーを手配し、マイアミからオーランドまでやって来ました。我々は2日かけて、ヘッド形状、アライメントライン、ホーゼルオプションなど、考え得る全ての構成を試し、「クインティックボールロールシステム」の各オプションを使用してテストを重ねました。ブライソンとは、最初の2日間で確か20時間、ともに過ごしました。

GolfWRX:そのテストで、彼は何を得ようとしていたのか、あるいは御社のパターで何を直そうとしていたのでしょうか?

フィンリー:ブライソンは初めて来たとき、一貫性を求めていました。ご存知の通り、彼はパターの調子が良い時期もありました。すでに「全米大学選手権」と「全米アマチュア選手権」を制覇していましたが、とにかく好みにムラがあり過ぎました。当時、彼はそのムラの多さを数量化できず、非効率的な練習になっていました。我々は彼の距離感が安定しておらず、インパクト時のフェースアングルが平均をわずかに下回っていることを突き止めました。アームロックによりフェースアングルは改善し、我々のテクノロジーが距離感のばらつきを抑えるのに最も適していることが証明されました。

GolfWRX:ブライソンは数年前にアームロックへ転向しました。何がこの変更を促したのでしょうか?

フィンリー:言葉にすると、やはり一貫性です。我々は全てのプションを試し、その中でアームロックが最も一貫性のある方法であることがわかりました。またこれは、動きの幅を最大化して純粋な振り子タイプのストロークを作りつつ、距離感とインパクト時のフェースアングルを数値化するシステムを組み上げるのに最適な方法でもありました。アームロックは動く部位が少ないので、メカニクスの分析要素が少ないのです。

GolfWRX:パターの視点からは、SIKは彼の求めるパターを作る上で何を行ったのでしょうか?

フィンリー:彼が抱えていた主要な問題は距離感でした。これこそ我々のテクノロジーが解決した主要部分です。世界最高の選手ですら、アドレスからインパクトにかけてシャフトの戻しにいくらかのばらつきがあります。我々固有の技術である下降ロフトテクノロジーは、シャフトの角度に関係なく一貫した角度でボールを打ち出すことで、こうしたばらつきを補正します。これがブライソンを魅了しました。彼は全てにおいて徹底的にテストします。科学的で数字に裏打ちされたアプローチを自分のゲームに反映させており、テストでは我々のパターが市場に出ているパターに比べて最も良いパフォーマンスを見せました。最初に我々のパターとブライソンの試合用パターを比べたところ、我々のパターの方が良いパフォーマンスを見せました。彼はこの業界のほぼ全てのメーカーのパターを使用してそれまでの名声を築き上げてきたので、ロッカーからそれらのパターも引っ張り出して、全てをテストしたのですが、常に我々の勝ちでした。

GolfWRX:ブライソンは今のスタイルに落ち着くまで、何通りのスタイルを試したのでしょうか?

フィンリー:当初、ブライソンは我々の全モデルを各アライメントラインとホーゼルタイプで試し、プロのヘッド形状とプランバーネックに落ち着きました。これは伝統的なアンサースタイルのブレードパターで、これがしっくりきました。しかし、ブライソンは常に向上しようとしていますし、さらなる一貫性を求めています。ここ数年の間、我々は彼に何ダースものプロトタイプを作ってきました。ヘッド重量の重いものと軽いもの(プロのヘッド形状)を試したり、様々なインサートを装着したり、ホーゼル位置をヘッド中央部へ近づけたり。さらに、アームロックのホーゼルを長くしてフェースバランスにしたり、トップラインの形状を薄くしたり厚くしたり、完全に新しい形状を試したりと、試してきました。貴方の考え得ることは、おそらく全て試したと思います。彼の初めのいくつかの勝利は、2017年2月に製作したプロトタイプのパターを使用した優勝でした。我々は機械的に使ったホーゼルのライ角とロフトを削り出すことで、標準的なプランバーネックの湾曲を回避したのですが、彼はこのセットアップでその後も何勝か重ねました。

直近の2勝は、プロトタイプの「LAGPコンスタントダイアメターシャフト」を使用した最新セットアップでのものでした。これには.580(口径58)接合のホーゼルが必要とされ、ホーゼルの重量が増えたことで、重心位置の調整も必要となりました。とはいえ、大体において、彼はプロヘッドを選択していますし、今のところはこれで落ち着いたようです。彼は「全米オープン」の第2ラウンドを終えた際、マイケル・ブリードに「ついに、僕の残りの人生はこのパターで行くというところまで来た」と言ったそうです。

GolfWRX:SIKはアームロックにはどのような利点があると考えていますか?

フィンリー:アームロックは、従来のアプローチに比べ、インパクトでフェースをスクエアに戻しやすくします。「JMX17」(編注:JunboMaxグリップ)の平坦な側が飛球線前方の前腕に密着することで、前方の腕を操作することがフェースを操作する唯一の方法となります。これ(不必要な操作)は従来のセットアップで手首や手先だけで行うのと比べると、はるかに難しいことですし、そうした動きが感知しやすくもなります。この部分だけをとっても大きな利点であり、考慮する余地があると思いますが、これにアップライトなライ角を加えることで、インパクトでフェースをスクエアに戻す能力に直結するパスの改善も実現しました。

我々はプレーヤーの腕が肩から重力で下がった状態になる78度のライ角を推奨します。このポジションにより、アーチを和らげた自然なストロークが可能となりつつ、パスに対してスクエアになるため、インパクトでのフェースアングルが向上します。スタンス中央、つまりは身体の重心が中央にある場合、ストロークの最下点となる部分で使用するようパターを設計しました。アームロックは単純に可変要素を排除するところに狙いがあります。従来式のやり方ですでにパターの名手としてプレーしているのであれば、アームロックへの転向は理に適っていないかもしれませんが、自分のゲームにおいてパッティングが強みになっていないのであれば、アームロックは助けになると我々は考えます。

(協力/GolfWRX、PGATOUR.com)

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情報提供:PGA TOUR

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