ブライアン・ハーマン首位 小平智は「80」で予選落ち
2017年 ウェルズファーゴ選手権
期間:05/04〜05/07 場所:イーグルポイントGC(ノースカロライナ州)
小さな男 優しい笑い 170cmハーマンが愛娘に捧げた大仕事
◇米国男子◇ウェルズファーゴ選手権 最終日(7日)◇イーグルポイントGC(ノースカロライナ州)◇7471yd(パー72)
小さな男の大仕事に会場が沸いた―。プレーを終えて首位に並んだ世界ランク1位のダスティン・ジョンソンらが戦況を見守る中、ブライアン・ハーマン(30)は最終18番で9mのバーディパットを放った。緩やかなスライスフックのラインに乗った白球は、カップに消えた。
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1打抜け出して通算10アンダー。後の組はスコアを落としており、3季ぶりのタイトルを確信すると、身長170センチと小柄なレフティーは体全体を使って喜びを爆発させた。膝を曲げて両手で何度もガッツポーズを作った。
忍び寄った完全無欠の王者の足音。ジョンソンが14位から猛追してホールアウト時点で首位に立った。「マスターズ」前日のケガで離脱したとはいえ、2月下旬から出場試合3連勝中。焦点は「誰が止めるか?」だった。
「ダスティンは本当に強い相手だ。予選ラウンドを終えたときは下位にいたはず。でも、みるみるうちに順位を上げて最後は2位になるんだから」とハーマン。
背伸びをして見上げるライバルたちに競り勝った。23センチ高いジョンソン。もう一人首位で並んでいたパット・ペレスも183センチ。4位のホン・ラームも188センチある。米国人の平均とされる178センチを下回る身長のハンディキャップは、決して小さくない。
負けず嫌いで努力を続けてジョージア大学時代から名を馳せた。パワフルなスイングで愛称は”小さな巨人”。2009年にプロ転向すると壁にぶち当たった。体格差は歴然で、今季の平均飛距離は288ydで128位だ。カバーするのは、平均パット数で4位などの小技だ。14年「ジョンディアクラシック」で初優勝を挙げた。
その後は勝利から遠ざかり、気持ちの面で疲労もたまって「正直に言うと休みを欲していた。努力を続けることは大変だった」と明かした。支えとなったのは家族の存在。妻のケリーさんと11カ月の娘のクーパーちゃんを「僕のよりどころだ」と言った。
優勝セレモニーでは、家族3人で並んだ。クーパーちゃんがハーマンの持った優勝カップをいたずらに覗き込むと、会場全体が優しい笑い声に包まれた。「クーパーに優勝を見せられて良かった。僕の家族は完璧だよ」。そう笑い、小さくて大きな宝物を抱いた。(ノースカロライナ州ウィルミントン/林洋平)