PXGが今季初勝利 パット・ペレスの優勝セッティング
地獄から天国の一年 パット・ペレスが7年ぶりV
◇米国男子◇OHLクラシックatマヤコバ 最終日(13日)◇エル・カマレオンGC(メキシコ)◇6987yd(パー71)
中南米・メキシコの地で7年ぶりのツアー2勝目を果たしたパット・ペレスは、「信じられない気分だね。この1年はずっと最低のところにいて、そこから一気に世界の頂点に昇ったような気分だよ」と、大きく目を見開いた。
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今年3月に肩を手術したペレスは、残りのシーズンを棒に振った。「自分にとっては本当に辛いこと。プレーしないことなんて、想像できなかった」という最低の時期を過ごし、新シーズンに入った10月の「CIMBクラシック(マレーシア)」でようやく復帰した。「公傷制度」で15試合の出場が保証されていたが、その道が険しいことは覚悟していた。だが、決して弱気にはならなかった。
この最終日の朝、目を覚ましたペレスは「今日は自分が勝つだろうと思った。勝つと思えるまで、ベッドから一歩たりとも出なかった」。数年前、ゴルフ界の著名なメンタル・アドバイザーであるボブ・ロテラが書いた本に出会って、考え方が大きく変わったという。曰く、「たとえば7.5mのチップショットは、練習ならば簡単だけど、試合になるといかに失敗しないかということを考えてしまう。でも彼は、失敗しないことを考えるのではなく、いかに球をカップに入れるかを考えろという。メンタルがガラッと変わったね」。
1打差を追って出た最終ラウンドで、ペレスは攻め続けた。「勝ちたかったし、失うものはなにもないという気持ちだった。(途中で首位に立っても)自分の順位は気にしなかったし、何打差あるかということも考えなかった。もし、自分がこれまで通りアグレッシブに良いプレーを続ければ、追い付くのは難しいだろうことは分かっていた」。そして、4アンダー「67」で後続に2打差をつけて、7年ぶりの優勝をもぎ取った。
「この勝利は、最初のものよりも格別だね。ここ数年間で味わってきたことを考えたらね」と、今年40歳になったペレスは、初勝利後に味わった険しい道のりを思い浮かべて微笑んだ。「これでマスターズに出られるだけじゃない。あと3年(今季の残りシーズン+2年シード)はここで戦えるし、またマウイ(1月のトーナメント・オブ・チャンピオンズ)にも行ける。PGAツアーの素晴らしい大会すべてに出場できる。またPGAツアーでのステータスを強固にできて、興奮しているよ」と頬を紅潮させてまくし立てた。
“世界の頂点に昇った気分”というのもまんざら大袈裟過ぎる表現ではないだろう。PGAツアーでの勝利の意味。それは、彼らの人生そのものを変えうるほどの影響力を持っているのだから。(プラヤ・デル・カルメン=メキシコ/今岡涼太)