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逃げる松山英樹の“守らない”1打 WGC制覇へ築いた足場

◇世界ゴルフ選手権◇WGC HSBCチャンピオンズ 3日目(29日)◇シェシャンインターナショナルGC(中国)◇7266yd(パー72)

13アンダーから出た松山英樹は4バーディ「68」で回り、通算17アンダーとして単独首位をキープした。ノーボギーで2位との差も3ストロークを守りきり、2016―17年シーズンの初勝利、日本勢として世界選手権シリーズ(WGC)の初制覇へ王手をかけた。

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リーダーは盤石だ。そう思わせるには十分な一打だった。同じ最終組でプレーした後続2人に2打以上の差をつけて迎えた18番(パー5)。1Wショットをフェアウェイに置くと、彼らが2打目をフェアウェイに刻んだのを横目に、グリーンが空くのを悠然と待った。

残り248yd。手前で口を開けている池を恐れず、3Wで美しいフェードボールを放つと、ピンから8mに2オン。逃げる立場でも、守りには入らない。「まだ3日目ですし」。スーパーショットの余韻を巨大スタンドに残したまま、2パットで楽々バーディを決めてビッグタイトル獲得へ前進した。

初日に10バーディ(4ボギー)、2日目は9バーディ(2ボギー)。派手なラッシュで猛然とトップの椅子を奪い、この日は静かに足場を固めた。前半2番をはじめ、4つのパー5で3バーディ。12番での後半唯一ともいえるピンチも、3mのパーパットをねじ込んだ。

「初日、2日目のラウンドのようにバーディをたくさん獲るのは楽しい。でも、きょうみたいな大事な局面になると、ボギーをたたかないことが大事になる。バーディが少なくて残念でしたけど、良いプレーができた」

2週前の「日本オープン」を制して、前週「CIMBクラシック」では2位に入った。日本、マレーシア、そして中国で3戦連続のタイトル争い。気候も、コースも違う中で、どっしりと戦っている。「大会によって優勝争いの疲れが違うなんて考えたことない。勝つのはどの試合も大変なこと。どこでも同じっすよ」。目の前の1打に注ぐ力の大小に、舞台は関係ないという。

ラウンド後の公式記者会見で「日本人として初めてWGCでの優勝がかかっているが?」という質問に、松山はうなずいて言った。「あした勝って、ここでそれを話したいと思う。それまでは自分のベストを尽くしたい」。その返答をビッグマウスだと思う人はいなかったはずだ。(中国・上海/桂川洋一)

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