名解説者が予想するアッと驚く注目の大穴選手は?/全米オープン
「マスターズ」に続き波乱は起きるのか!? その可能性を秘めた2人に注目!
大会前の優勝者を予想するブックメーカーを調べてみると、大体は世界ランキング順にオッズがつけられている。第一人気はやはりタイガー・ウッズで、倍率は3.5倍から4倍となっている。続くは世界ランク2位のフィル・ミケルソンの10倍、ジム・フューリック、アダム・スコット(オーストラリア)、ビジェイ・シン(フィジー)の18倍、そしてアーニー・エルス、レティーフ・グーセン(共に南アフリカ)、パドレイグ・ハリントン(アイルランド)の25倍、セルヒオ・ガルシア(スペイン)、ルーク・ドナルド(イングランド)、昨年優勝者のジェフ・オギルビー(オーストラリア)の33倍となっている。
1970年のトニー・ジャクリン(イングランド)以降、欧州出身の選手は優勝から遠ざかっている中、昨年はコリン・モンゴメリー(スコットランド)とハリントンが惜敗。今年こそはと、新鋭のヘンリック・ステンソン(スウェーデン・50倍)や「マスターズ」でも優勝争いに絡んだジャスティン・ローズ(イングランド・50倍)も期待感はあるが、やはり欧州勢は再び主役ではなく、助演男優賞になりそうな予感がある。
大穴的な優勝を考えると、狙い目はオーストラリアのニック・オハーン(150倍)とショーン・オヘアー(66倍)に注目したい。
オハーンはオーストラリア西部パース出身の35歳。欧州ツアーで7年間腕を磨いてから米ツアーに本格参戦したのは昨年から。昨年は豪州ツアーの最終戦で優勝を果たして賞金王に輝いているが、「WGC世界マッチプレー選手権」では、2度もタイガーを破っている事でも有名だ。今シーズンも平均飛距離275ヤードとロングヒッターではないが、正確なアイアンショットと粘り強いショートゲームが持ち味で、世界ランクを22位としている。昨年のウィングフットでも最終日にその日のベストスコアとなる「69」を記録して、3打差の6位に入賞している。ラフからのパーセーブ率も、今年はツアーで7番目の位置。オークモントでも渋くパーセーブを続け、リーダーボードに「O'Hern」の名前がしっかりあることだろう。
次なるアメリカン・ヤングセンセーション(期待の若手)として期待が高い選手が、24歳のショーン・オヘアー。第5のメジャー戦として知られている先月の「ザ・プレーヤーズ」でも優勝争いに絡み、71ホール目での連続池ポチャで撃沈となったが、その攻めのスタイルと堂々とした敗戦インタビューにたくさんのゴルファーの心を掴み、今や人気も急上昇中だ。オヘアーはジュニア時代からトップクラスの戦歴を持っていたが、大学に進学はせずに高校2年生でプロ転向。ミニツアーで5年間腕を磨いたのちプロテストに合格。ルーキーイヤーとなった2005年では「ジョンディアクラシック」で勝利を飾り、獲得賞金は200万ドル(2億5000万円)を突破。賞金ランク18位という上々のデビューを飾った。昨年は予選落ち10回と2年目のジンクスを経験したが、ツアー3年目の今年はドライバーの飛距離と正確性(ともに28位)を一緒にした「トータルドライビング」でトップ、パーオン率も20位と安定したショットを武器に、好成績を残している。
アップライトで大きなスイングアークで放つビッグドライブと、攻撃的なゴルフスタイル、そして一見ジェームス・ディーンを思わせるようなイケメンだ。
また、ショーンを育てた父マーク・オヘアー氏からのスパルタ教育も有名。日本で言うと、漫画「巨人の星」の星一徹風のキャラクターのようなマーク氏は、厳しい教えのスタイルや、彼が高校のときに将来プロで稼いだ賞金の10%を父親に支払うという契約書に署名させたことが報道されて非難を受けた。その契約は無効となったが、今ではまったく口も利かなくなったというオヘアー親子。「全米オープン」の最終日は「父の日」となるが、もしオヘアーが優勝することになれば、マーク氏にどんなコメントを残すのかも注目だ。前回オークモントCCで開催となった時、勝利を収めたのはエルス。その時、エルスも今のオヘアーと同じ24歳だった。
(解説:アンディー和田)