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ベン・カーティスの原点は、祖父の夢から始まった

40年前、ベン・カーティスの祖父がオハイオ州コロンバスに、ミルクリークGCをオープン。1960年に祖父のビル・ブラック氏が60エーカーの土地を9500ドルで購入。最初は牧場を営んでいたが、祖父の夢をかなえるため、ゴルフ場を経営することになった。

ミアテイ・ブラック(ベン・カーティス祖母)
「夫はこの土地を購入した時、ここには7つのフェアウェイがすでにある、と言い出したの」

ブラック氏は農家育ちで、地元の小学校で教員も務めていた。また、2人の間には5人の娘がいる。

ミアテイ・ブラック
「大変な時代でしたからね。決して裕福ではありませんでしたが、家族が一致団結して必死に生きていました」

土地購入から13年後、祖父の夢が実現した。1973年、ミルクリークGCは9ホールでスタートした。家族全員が協力しながらスタートしたゴルフ場経営では、祖母がキッチンでランチを作りながら、スターターも務めたという。ベンの母親はティーンの頃、デートよりもゴルフ場の整備を優先させられたという。

ジャニス・カーティス(母親)
「夫と結婚する前でしたけど、いろいろと手伝ってもらいました」

残りの9ホールが完成したのが1977年。ミルクリークGCは今までさほどスポットライトがあたらない普通のパブリック・コースだったが、地元ゴルファーに愛されるファミリー感覚なゴルフ場だ。そしてベンが生まれた。幼い頃、ベンが練習していると、フェアウェイの整備をしていた祖父が仕事をやめてすぐコーチし出したという。

ベン・カーティス
「フェアウェイ整備用のトラクターから僕の姿を見つけると、トラクターから飛び降りて一通り教えては仕事に戻っていったんだ」

ジャニス・カーティス
「ベンの祖父がゴルフばかりを教えるんで、私たちはベンに家族や友人、そして恋愛も大事だと教えていました。あまりに祖父の影響が大きくてゴルフだけの人生を歩んでいましたからね」

両親の心配をよそに、ベンには沢山の友人と、素敵なフィアンセ、そして素晴らしいゴルフ人生が手に入った。大学時代にはキャプテンを務め、そしてついに米ツアーへ参戦した。今年の1月、ベンは入院中の祖父のもとに米ツアーカードを見せにいった。

ベン・カーティス
「もう祖父は目が見えていなかったのですが、触りたいというので、ツアーカードを手渡したんです。本物だって喜んでました」

2月に祖父は死去。その5ヵ月後、孫は祖父から受け継いだゴルフへの情熱で、今後100年は語りづがれるであろう“メジャー初出場で優勝”、“初優勝がメジャータイトル”という2つの偉業を成し遂げた。

ベン・カーティス
「試合中、祖父が側にいる気がしてました。終始リラックスして落ちついていられたのは祖父のおかげです」

ブラック氏がゴルフ場を作りたいといったとき、周囲は笑い飛ばした。しかし、彼は夢という名の種を植えて、2003年に全英オープン・チャンピオンを誕生させたのだ。

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