全米プロ×古都フィラデルフィアで触れるアメリカの歴史
今年の「全米プロゴルフ選手権」が開催されたのは、ペンシルベニア州フィラデルフィア郊外にあるアロミニンクGC。街の名前だけは知っているという方も多いと思う。ニューヨークから車で2時間弱という距離にあり、ニューヨークの隣町という位置づけだ。
中心地には高層ビルも立ち並ぶ大都市で、1970年代の名作「ロッキー」の舞台となったことで有名。フィラデルフィア美術館の前にはロッキーの銅像があり、多くの観光客が訪れて写真を撮っている。ここで、アメリカ滞在歴35年の筆者の限られた知識でフィラデルフィアを簡単に紹介したい。
フィラデルフィアはアメリカ最初の首都であり、今も街の中心に残るインデペンデンスホールで1776年に独立宣言が採択された。このホールの見学ツアーに参加すると、独立当時のまま保存されている内装、および独立宣言書(※レプリカ)を見ることができ、当時の趣が今に伝えられている。
アロミニンクGCのクラブハウスに掲げられている星条旗に描かれた星の数は、一般的な50個とは異なり13個しかない。これは、独立した当時の13州を示したもの。この旗を見るとアメリカ人は「昔っぽいなあ」と感じる。アメリカ最初の首都フィラデルフィアならではの装飾なのだ。
今回の大会では、住友ゴム工業が展開するスリクソンの、映画ロッキーをモチーフにしたボクシンググローブ型のヘッドカバーが選手に提供された。キャロウェイは地元MLBチームであるフィリーズのユニホーム柄にちなんだストライプ模様のキャディバッグを製作。
テーラーメイドはインデペンデンスホールのシルエットと、100ドル紙幣の図柄に用いられている独立宣言書の起草委員の一人だったベンジャミン・フランクリンの肖像を配したデザインを採用するなど、各メーカーが“フィラデルフィア感”を演出していた。でも、当地の歴史を知らなければ、一体なんのデザイン? と意味不明だっただろう。
大会を制したのはアーロン・ライ。出身のイギリスは、アメリカが独立を勝ち取った戦争相手でもある。歴史の流れだけを見れば、フィラデルフィアでイギリス人が勝つのはどう思われるんだろう…? と心配になったが、会場のギャラリーからは18番グリーンに上がるライに万雷の拍手と声援が送られ、表彰式でも大勢の人がライの優勝をたたえた。これも歴史のあやとして捉えれば、ゴルフ観戦のさらなる面白みが味わえたかと思う。(JJ田邉カメラマン)