2026年 マスターズ

アーメンコーナーで守ったトム・ワトソンの教え マキロイは欧州選手最多メジャー6勝目も「旅の一部に」

2026年 マスターズ 最終日 ロリー・マキロイ
「マスターズ」連覇を遂げたロリー・マキロイ。視線の先にあるものは

◇メジャー第1戦◇マスターズ 最終日(12日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7565yd(パー72)

アーメンコーナーの12番(パー3)で、ロリー・マキロイ(北アイルランド)は17年前のことを思い出していた。初出場だった19歳の若者は、大会2勝を誇るトム・ワトソンと一緒に練習ラウンドを回る縁に恵まれた。「彼は12番ティで、『風がどこから吹くか感じ取れるまで待ってから打つように』と教えてくれた。そして、『(風を感じて)打てるタイミングが来たら、すぐに打ちなさい』とね」

史上4人目の大会連覇が懸かる究極の場面で、36歳はその言葉を忠実に守った。オーガスタの中でも特に風が舞い、ジャッジを惑わせるホール。隣接する11番グリーンのピンフラッグは右から左にはためいている。「でも、僕は我慢した。風がどこから吹いているか、自分で感じられるまで待った」。確信を持って繰り出した9番アイアンのスリークォーターショットは、グリーン中央から傾斜を伝ってピン上2m強に絡む完璧な一打となった。混戦から一歩抜け出すバーディに「絶好のタイミングで打った素晴らしいショット。この大会において間違いなく、極めて大きかった」と胸を張った。

2026年 マスターズ 最終日 ロリー・マキロイ
18回目のオーガスタ

予選ラウンド36ホールを終えた時点でマスターズ新記録となる後続に6打差の大量リードを築いていた。「73」とスコアを落とした3日目にキャメロン・ヤングに並ばれた。「僕は決して楽な試合運びなんてしないよね。20代前半の頃、8打差で優勝していた頃は、もっと楽に勝てたものだったけど…」。大会レコードの大差をつけてメジャー2勝目を挙げた2012年の「全米プロ」を引き合いに出して笑うが、粘り強さは当時と比べ物にならない。

2026年 マスターズ 最終日 ロリー・マキロイ
耐える時間も多かった

この日もバーディが先行した直後の4番(パー3)で5番アイアンのティショットをガードバンカーよりも左に大きく外し、3パットも重なってまさかのダブルボギーを喫した。「去年の最終日は最初のホールでダブルボギーをたたいたからね」。一時は2ストロークを追う位置まで後退しても、「マスターズで学んだのは、待つ者には良いことが訪れる、ということかもしれない。とにかく諦めずに続けること」。7番からの2連続バーディで息を吹き返し、1Wショットを右の林へ大きく曲げた18番もボギーでしのいで最後はスコッティ・シェフラーを1打差で振り切った。

2026年 マスターズ 最終日 ロリー・マキロイ
戦いの重圧から解放された瞬間

短いウイニングパットを沈める前から目には光るものがあった。オーガスタの夕日を浴びながら空を見上げ、雄たけびを上げた。ニック・ファルド(イングランド)と並んで欧州出身選手のメジャー最多勝利となる6勝目。マスターズ初優勝からの連覇もファルドに続く2人目だった。「史上最高の欧州プレーヤー」について聞かれ、「きょうでニックに並んだから、そういう議論も出るだろうね。決めるのは難しいけど、その一員になれるのは素晴らしい」と言ってから続けた。「プレーもフィジカルも最高の状態にある。今回の優勝を“旅のひと区切り”とは言いたくない。“旅の一部”に過ぎない。達成したいことがあるんだ」。スーパースターが紡ぐ物語には、まだまだ続きがある。(ジョージア州オーガスタ/亀山泰宏)

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