タイガー・ウッズが単独首位!/エミレーツオーストラリアンオープン 2日目
タイガーを育てたジュニアにゴルフを親しんでもらう制度の今は
ザ・ファースト・ティー(ジュニアのために低額でゴルフを教えて親しんでもらう制度)のイニシアティブに感心しないではいられない。6年間でザ・ファースト・ティーは魅力的なアイデアから先例されたブランド志向の組織となるまでに成長し、146の独立した支部を抱え、また全国334のゴルフコースと提携するまでにもなった。30万人以上の子供がファースト・ティーのプログラムに参加し、また今後最低100の新たな支部が進行中である。
しかし最近行われた年次会合でファースト・ティーは厳しい現実に直面した。ザ・ファースト・ティーのブランドがどれだけ認知されようと、支部レベルでの資金調達は終わることの無い、当惑させるチャレンジである。
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ファースト・ティーのエグゼクティブ・ディレクターであるジョー・ルイス・バローは次のように述べる。「前からこの問題は認識していたが、限度は不明だった」。そのため、現在ファースト・ティーはプログラムのゴルフ要素の重視をやめようと考えている。バローにとってファースト・ティーの支部に次のタイガー・ウッズが潜んでいるかは取るに足らないこと。ファースト・ティーのライフスキル教育プログラムに参加した親が当該プログラムを高く評価していることを彼はもっと重要視している。
バローが組織に加わる約3年前の1997年11月に、4都市に渡り2日間行われた大々的な報道活動によりザ・ファースト・ティープログラムは公開された。その際、ライフスキルのコンセプトへの言及は無かった。ザ・ファースト・ティー設立当初は、ゴルフに通常触れる機会の無い子供にゴルフを紹介しゴルフを成長させることが主な目的だった。
バローの指揮のもと、ザ・ファースト・ティーの任務は拡大した。ザ・ファースト・ティーの9つの中心的価値を植え付け品質の高いゴルファーを育てることが目標。9つの中心的価値は、責任感、スポーツマンシップ、忍耐力、自信、判断力、公正、尊敬、礼儀、及び誠実さ。ファースト・ティーの卒業生が素晴らしいスキルを供えたプレーヤーになればこれは素晴らしいこと。しかし更に多くの卒業生がその他の分野でリーダーとなることは更に素晴らしい。
ファースト・ティーをゴルフと関連付けることにはメリット及びデメリットがある。非行に走る可能性がある若者を手助けすることに興味がある方にとってゴルフの価値観は魅力的なものだ。ファースト・ティーの監視委員会のメンバーであるPGAツアー、USGA、PGA of America、LPGA及びオーガスタナショナルゴルフクラブは強い影響力を及ぼし、これらの機関のネットワークはファースト・ティーの施設の土地を確保するのに役立った。また、これらの機関は建築及び施設管理も支援し、ボールやクラブも提供し、インストラクターやボランティア募集にも貢献している。
ティム・フィンチェムは間違えなく『ザ・ファースト・ティー』を彼のレガシー、即ちPGAツアーの理事としての任期を定義するものにしたいと考えている。彼はタイガー・ウッズの時代を大富豪選手を生み出した時代としてではなく、もっと永続的な出来事があった時代として認識されたいと思っている。
ファースト・ティー支部の個々の成功は支部レベルで決定する。地域の資金調達担当者は多くの場合、ゴルフと言うだけで援助資金供与者の興味は失せてしまうと言う。多くの人にとって、ゴルフは寄付に値する大儀ではない。何故ならゴルフは富やレジャーを象徴するからだ。なかにはゴルフの施設に投資するよう求められていると誤認する人たちもいる。
「我々がゴルフコース開発事業を行っていると誤認されたくない」とバローは言う。ザ・ファースト・ティーゴルフコース開発事業ではなく、キャラクター開発事業。しかし、ゴルフと非行する可能性がある若者の二分法はジレンマをもたらすと、元歯科及び教育者であり、児童糖尿病財団で最高経営責任者を務めたこともあり、医学的リサーチのために長年資金調達を行ってきたDr.ジム・ムルビヒル氏は述べる。ムルビヒル氏は現在ファースト・ティーの資金調達部門で非常勤に働いている。
彼は資金調達を古い職業だという。「簡単な事ではないし、また多くの人が楽しんでやることではない」とムルビヒル氏は言う。ザ・ファースト・ティーの場合、「通常はライフスキルにアクセスできない若者に貴重なライフスキルを提供するプログラムを見込援助資金供与者に対しちゃんと説明をしなければならない。このような経験を与えるために我々は偶然にもゴルフを利用しているだけでこれはこの事業のデメリットではない。ただ人に時間をかけて説明しなければならないだけだ」。
ザ・ファースト・ティーが存続するには正確なメッセージを伝達することは最も重要。「素晴らしい目的だし、スタッフも良い。プログラムも良い」とムルビヒル氏は言う。「ただ支部を持続的にサポートできるかどうかが今後落とし穴となりそうだ。認知度が上がれば多くの子供が支部に参加を求める。それを実行するためのリソースが必要となる」。そのためホームオフィスはここ2年間支部の財務データを収集してきた。約50の支部の財務記録を分析し、個々の支部の更に正確な収支率を考案することが目的。
「総収入、収入項目、経費及びその他の情報が入手できた。事業全体を理解し当該情報を支部に与えなければならない」とバローは述べる。
独立したファースト・ティー施設の運営コスト及びプログラムコストを補うために年間22万ドルが必要であることが3年前発覚した。今年支部の財務的調査が終了すればこの数字は更に上るだろう。
6名の地域マネージャーが支部を管理し、実務や実行しなければならないことが実現されるよう監視している。過去2年の間、全支部のライフスキルプログラムを標準化する大きな働きがけがあった。ザ・ファースト・ティーは現在大規模な調査を行い、ライフスキルプログラムの効果を数値で表そうとしている。
今ザ・ファースト・ティーは本当のストーリーを語れるとバローは言う。しかし彼は重要な副題に触れようとしない。 「この組織のリーダーシップを見ると分かるが(バローは)人種や背景等関係なく有能な人材を集めることに成功した」とUSGA、PGA of America、及びPGAツアーを合わせた人数よりも多くのアフリカン-アメリカンがザ・ファースト・ティーのエグゼクティブオフィスに雇用されていることをほのめかしながらムルビヒル氏は言う。「ジョーは言わないが、彼には他の目的もあるようだ」。
ザ・ファースト・ティーには大いに社会に貢献している。資金調達担当者にとってこれ以上良いセールス文句はあるのだろうか?ちなみにデイブ・シーナーはピッツバーグのザ・ファースト・ティーの役員である。
Golfweek