「全英オープン」初日の組み合わせ&スタート時刻
2024年 全英オープン
期間:07/18〜07/21 場所:ロイヤルトゥルーン(スコットランド)
8年前「全英」でプレーの3人に聞いた ロイヤルトゥルーンはどんなコース?
◇メジャー最終戦◇全英オープン 事前情報◇ロイヤルトゥルーン(スコットランド)◇7385yd(パー71)
今年の舞台となるのは、8年ぶり10度目の開催となるスコットランド南西部に位置するロイヤルトゥルーン。前回の2016年はヘンリック・ステンソン(スウェーデン)が72ホールの大会最少ストローク「264」、通算20アンダーでメジャー初優勝を手にした。同年大会をプレーした市原弘大、宮里優作、塚田陽亮の解説とともに、ロイヤルトゥルーンを深掘りする。
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倉本正弘が82年に4位タイ 「全英」最長&最短ホール
総距離が16年大会から195yd延長されて7385yd。全英での最長&最短ホールがあり、最長は6番(パー5)623yd、最短は8番(パー3)123ydの設定となる。過去9回における日本勢最高位は、1982年大会で倉本昌弘が記録した4位タイ。優勝したトム・ワトソンに2ストローク及ばなかった。
<過去9回の優勝者&スコア>()内は日本勢最上位
1923年:アーサー・ヘイバース「295」
1950年:ボビー・ルーク「279」1アンダー
1962年:アーノルド・パーマー「276」12アンダー
1973年:トム・ワイスコフ「276」12アンダー
1982年:トム・ワトソン「284」4アンダー(倉本昌弘 4位タイ)
1989年:マーク・カルカベッキア「275」13アンダー(尾崎将司 30位タイ)
1997年:ジャスティン・レナード「272」12アンダー(丸山茂樹 10位タイ)
2004年:トッド・ハミルトン「274」10アンダー(神山隆志 27位タイ)
2016年:ヘンリック・ステンソン「264」20アンダー(池田勇太72位タイ)
名物パー3は“切手”のように小さいグリーン
名物ホールのひとつが打ち下ろしの8番(パー3)。123ydと距離が短く、日によっては90yd前後に下がることもあるが油断は禁物。グリーンが“郵便切手”のように小さいことに例えて「ポステージスタンプ」と呼ばれている。2020年「AIG女子オープン」(全英女子)では3日目に95yd設定で行い、平均スコアは「3.0」だった。
「短い距離だけど狙いはグリーンセンターでいい。とにかく乗ればOK」と話すのは、同ホールで4日間2つのボギーを喫した市原。当時は左からのアゲンストが強く、雨風の中では6Iの選択肢もあったという。「ティグラウンドが高台になっていて、風をもろに食らう。6Iでチョンと打つ選手もいた」という。
初日にバーディを奪った塚田は「左からのアゲンストで、50度くらいのクラブだと難しい。PWや9Iでチョンと打てば、風の影響が少ない」と解説する。
強いアゲンストが印象に残っているのは宮里も同じで、「苦い思い出しかない」と振り返った。初日は7打をたたき予選落ちの一因に。「エッジまで100yd、ピンまで110ydくらいで、僕の前の選手はみんな9Iで打っていた。僕も同じ番手で打ったらフォローになっちゃって、果てしなくオーバーした」と40ydオーバーして奥のブッシュへ。風次第で繊細なジャッジが求められるパー3、各選手がどう攻めるのかに注目だ。
アップダウンが激しく「どこに打てばいいのか」
ロイヤルトゥルーンの特徴として、他の全英コースよりもアップダウンが激しいことがある。中でも市原が警戒ホールとして挙げたのが11番。「ザ・レールウェイ」と呼ばれる右サイドを路線が走るパー4で、498ydと距離が長く、狭いフェウェイの左右にはシダが茂る。「ティからフェアウェイが見えなくて、天気が悪いと本当にどこに打っていいのか分からないくらい。丘の向こうに打っていく感じ」と話す。
10番も同じく落としどころを目視できない打ち上げのホール。「山の上に打っていく感じで、どこに打てばいいのか分からない。ドライバーで差し込んだらダメ。距離が残っても良いから3Wで右に打って。でも次も打ち上げで全然見えない」と、ティショットの選択がカギになる。
風に乗せるゴルフはできない
風の攻略がスコアを大きく左右するリンクスコース。「基本は風にぶつけていく感じだけど、あまりぶつけると距離が残る」と市原は言う。印象に残っているのは17番(パー3)。当時220ydの同ホールで、5Wで打ったティショットがアゲンストで届かず50ydもショートしたそうだ。
宮里は「風に乗せて打つゴルフはできない。ぶつけて真っすぐ飛ばさないと」と話す。「風に乗せると、グリーンから落ちてどんどん転がってしまう。うまい選手はみんなぶつけていた。フェアウェイが硬く、転がってランが出るから。それを向こうの選手は分かっている」
天候とスタート時間でより「過酷」に
塚田は「カシミアのセーターを着たり、半袖を着たり。本当に一週間で四季があった」と回顧。日々大きく変わる天候によりスコアが大きく左右する。
加えて全英は、長い競技時間も大会を過酷にする要因のひとつ。第1組は朝6時台、最終組は夕方4時台に出て、ホールアウトするのは午後10時…ということも。「寒いし、次の日は朝7時スタートで…いつ寝るんだよ!って、結構過酷なイメージしかないです」と宮里。
2016年大会では、出場した日本勢8人のうち予選通過は市原(72位)と池田勇太(79位)の2人だけ。今年そろった8人の日本勢が、ロイヤルトゥルーンをどう攻略するかに注目だ。