PGAツアーとLIV統合に暗雲か カネと世論と政治絡む国際ビジネス象徴/小林至博士のゴルフ余聞
ジョン・ラームがLIVゴルフに電撃移籍 契約金700億円超か
男子ゴルフ世界ランキング3位のジョン・ラーム(スペイン)が、サウジアラビア政府系資金をバックにした「LIVゴルフ」に加入することが決まった。LIVゴルフが7日、発表した。欧米メディアによると、11勝を飾ったPGAツアーからの移籍に伴う契約金は700億円以上に上る。
ラームは29歳。アリゾナ州立大を経て2016年にプロ転向し、17年「ファーマーズインシュランスオープン」で初優勝を飾った。20年に世界ランクで1位に浮上。21年の「全米オープン」でメジャー初制覇を遂げ、今年4月には「マスターズ」を制した。
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LIVのプレスリリースを通じ「ゴルフの新たな成長の一角を担えることを誇りに思う」とコメントした。
昨年6月のリーグ開始以来、対立関係にあった欧米ツアーのトップ選手の動向が注目され、ラームも渦中のひとりだった。当初は予選カットがない3日間大会をはじめとしたLIV独自のフォーマット等に否定的で、莫大な賞金額についても「お金のためにゴルフをしたことは一度もない。世界のベストな選手たちと競い合いたい。PGAツアーこそが持つ歴史や伝統に惹かれている」と話し、PGAツアーに残留していた。
ところが先月、タイガー・ウッズとロリー・マキロイ(北アイルランド)による発案で、PGAツアーが支援するインドア型ゴルフの新リーグ「TGL」からの脱退を発表。今月に入ってLIV加入の報道が過熱していた。
“移籍金”は昨年の発足以来、最高額と見られており、米ウォールストリートジャーナルは5億ドル(約718億円)、英テレグラフは4億5000万ポンド(約813億円)と報じた。
欧米ツアーは6月にLIVサイドとの和解を表明。同じくサウジアラビア政府系ファンドのPIF(パブリック・インベストメント・ファンド)の投資を受け入れる統合に関する枠組みと方針を発表していたが、今月31日の期限を前に具体的な進展が明らかになっていない。