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2023年は「最悪の年」だったのか?/ZOZO直前 松山英樹インタビュー

◇日米ツアー共催◇ZOZOチャンピオンシップ 事前情報◇アコーディア・ゴルフ習志野CC(千葉)◇7079yd(パー70)

2023年8月、松山英樹が10年に及ぶPGAツアーのキャリアの節目を迎えた。2022―23年シーズンのプレーオフシリーズ第2戦「BMW選手権」で敗退(背中痛で途中棄権)し、14年から続いていた最終戦「ツアー選手権」出場が継続中の選手として最長の9年連続で途切れた。日本のエースは31歳の秋に、何を思うのか。日本国内で開催されるPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」を前にした心境を語った。(聞き手・構成/桂川洋一)

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途中棄権でシーズン終了

10年目のシーズンは意外な形でいったん幕を閉じた。8月のプレーオフ第2戦「BMW選手権」2日目のスタート前、背中痛を発症して途中棄権。シーズン最終戦進出をかけた戦いは2日に満たなかった。

「朝のウォーミングアップ中、いつものメニューにある動きをやった時に立てなくなって。いきなり、ぎっくり。“ぎっくり背中”。午後のスタートまでに治療をしてもらったが、ガマンして続けるべきか考えた。今年も痛みを抱えながら散々やってきたし、無理をして長引かせてしまったこともあるので、来年、2024年の頭から良い感じでシーズンに入ることの方が大事ではないかと思いました」

昨秋にスタートした2022―23年のレギュラーシーズンはトップ10入りがわずか2回。年間ポイントレース(フェデックスカップ)57位で迎えたプレーオフ初戦「フェデックスセントジュード選手権」でランクを47位に上げ、上位50人による第2戦に滑り込み。連戦で、最終戦進出の30人枠を目指していた。

「50位に入ってホッとした部分もあり、BMW選手権でトップ3に近い成績を残せば最終戦まで行けるのも知っていた。ある程度の満足感と、最後までやりたい自分との狭間で揺れていた。でも来年のことを考えたら、この背中の痛みで無理をしてはいけないと。ゴルフの調子も悪い状態でなくなってきていたから、また故障で壊してしまうよりは良いと。間違いなく複雑な気持ちだった」

首に背中に腰――。ここ最近、松山の背部を脅かしている故障が表面化したのは1年半前にさかのぼる。2022年3月、フロリダでの試合期間中に首の痛みがひどくなり、その後、度重なる欠場や途中棄権の心配と向き合う試合が格段に増えた。今年2月からは米国で7年ぶりに2試合連続の予選落ち。スコアメーク以前に、身体の状態とスイングの出来への悩みが日々ついて回る。

「去年に比べれば、寝るときの不安もだいぶ減ってきたんです。でも、リビエラ(最初に予選落ちしたザ・ジェネシス招待)のときが、一番泥沼にハマっている感じだった。ベイヒル(アーノルド・パーマー招待)も初日は耐えたけど、2日目にね(今季ワーストの「78」)。身体も万全でなかったし、もうちょっとわけ分かんなくなっちゃって」

不完全燃焼だったメジャー4大会

4月の「マスターズ」から続くメジャー4大会で今年は優勝争いはおろか、トップ10入りさえできなかった。

「マスターズは、直前のバレロテキサスオープンでパットになんとなく光が見えた気がした。だから『自信を持って打てればチャンスはある』感じはあった。でも、やっぱり打ち方を変えていた時期だったから不安で、最後の最後に自信を持てなくなった。全米プロはショットの心配は減ったけれど、試合ではうまくいかなかった。パットの試行錯誤も、自分がどこに向かっていくかを迷っている時期だった」

「全米オープンは正直、『このコースで優勝する雰囲気はなさそう』と思ってしまったんです。ショートゲームで芝への対応が全然できなかった。自分のイメージと出球、スピンの入り方、ウェッジのバウンスがコンタクトした時に跳ねるか、跳ねないか…というのが全く合わなくて。練習しても『こんなに合わないもんかな』と思うくらい。グリーンを外す時に、どこに置けばOKというエリアもあまりなかった」

「全英のリバプールはコースを知っていたし、攻め方は理解していたけれど、やっぱりショットがしっかりしていないとダメ。自分で試合中にやるべきことは決めていて、だから上位にはいられたと思うんですけど、方向性が改めて定まっていなかった。やっぱり首をけがしてから、飛距離やスピードが(以前ほど)出ていない。対応能力が自分の範囲外にある感覚がずっと続いていて、なんとか合わせながらやっていた」

窮地で得た新たな仲間

望ましい結果が出ず、苦しんでいた期間は長かった。それでも頭がパンクしそうになった時、確かな救いの手もあった。昨年の「ZOZOチャンピオンシップ」からアドバイスをもらってきた黒宮幹仁コーチが、昨オフからチームに本格合流。松山にとっては、アマチュア時代にしのぎを削った同学年の指導者だ。

「(3月)アーノルド・パーマー招待の2日目に、黒宮が来てくれて。予選落ちして、午後にすぐ練習した。4時間くらい2人で話しながら、ショット、パターを繰り返していたら、去年聞いていたことが、かみ砕かれて『ああ、そういうことかな』って理解できてきたんです。週末に別のコースで練習したら、ハーフで6アンダーくらいが出て(笑)。なんとなく見つかったものがあった」

その翌週の「ザ・プレーヤーズ選手権」で記録した5位が、レギュラーシーズンの最高成績である。

「黒宮は同学年で、僕は彼が選手としてやっていたのも見ている。プロゴルファーの気持ちも少なからず理解できる人。自分では分からない部分も言ってくれる。時には僕が納得できない部分もある。ただそれを納得できるまで、試行錯誤しながら話してくれる。それに『データは取るけれど、データだけが全てじゃない。あくまでも参考にすぎないし、試合でそれが全てできるわけじゃない』と、データに対する考え方も選手目線で伝えてくれる」

しびれたセントジュードの戦い「ダメなら飛行機に」

フェデックスカップランク50位は、確かにキャリアで最低だが、この数字は前年までと大きく意味が異なる。PGAツアーは来季、出場枠の少ない昇格大会(シグネチャーイベント)を8試合行う。予選落ちのない試合も含まれ、これらの大会の出場条件のひとつが今季のランク50位だった。ランク57位から“圏内”に飛び込んだプレーオフ初戦「セントジュード選手権」。最終日バックナインの戦いぶりは鳥肌モノと言えた。

「50位以内に入れたのは、想像していた以上にすごい価値のあることだったんだと、終わって改めて感じた。(セントジュード最終日は)開き直った、というわけじゃないんですけどね。前半が終わってリーダーボードを見た時に(暫定ランク)54位くらいにいて『2つ、3つ伸ばせば50位に入れるんじゃないか』と思って。そうしたら、12番のアプローチで“チャックリ”をしてボギー…。あんなに“きれいな”チャックリも久々だった(笑)。でも13番でバーディを取り返して『ショットもパットも完璧な状態ではない。自分にできることは少ないけれど、残り6ホールで3つ伸ばせれば最高』と考えたら、あまり好きではない15番も良いショットが打ててバーディを取れた」

いい雰囲気になってきた時に(悪天候で)中断になってしまって。でも、再開後の16番(パー5)はピンポジションが手前だったから『ティショットがフェアウェイに行けばイーグルのチャンスがある』と。1Wショットも、6Iのセカンドも完璧。(イーグルパットは)ラインがはっきり分からなかったけれど、入って『ヨシ!』と」

17番はティショットを打った後、ボールに泥が付着していたがバーディを奪い、最終18番ではグリーン脇から見事なアプローチでパーセーブ。

「パーパットは『1m残したら外れる』と思っていたんで絶対に寄せたかった。でも、足元がラフでもなくフェアウェイでもなく、ファーストカットからで(スピンの具合が)良かった。ポンと浮いた瞬間、『あ、寄った。OK』と」

崖っぷちから猛チャージ。上がり6ホールで5つ伸ばして大会を16位で終え、ランクを47位に押し上げた。実はホールアウト後、コースを離れてもドキドキは続いたという。

「ホテルに帰るときも、スマホで順位を見ながら『うわ、下がった』『おお、耐えた』『ヤバいぞ、この選手がバーディを獲るとダメだ』…と。その日のうちに、メンフィスから次の(BMW選手権)会場があるシカゴに移動するつもりだったんで、『入れなかったらそのまま(シカゴから)日本への直行便に乗ればいい、ダメだったら飛行機に乗って帰るだけだ』と思っていました」

最終戦連続出場が途絶えて考えたこと

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