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ハッピーバースデー、タイガー・ウッズ

1996年8月27日、ミルウォーキー。この日は、タイガー・ウッズがプロ転向の意思を表明した日である。つまり、8月27日はプロゴルファー、タイガー・ウッズの誕生日と言える。10年後のこの日、自らの誕生日のお祝いに、オハイオ州で行われたWGC(世界ゴルフ選手権)ブリヂストンインビテーショナルで、昨年度に続いて5度目の優勝を果たした。

プロ転向した当時、タイガーよりも2歳年上のスチュワート・シンクはこの様に語っている。「いくらタイガーでも、プロデビューの年に翌年のPGAトーナメント出場権を簡単に獲得することは困難だろう」。これは決してライバルへの意地悪な言葉ではなく、非常に現実的な見解であった。新人にとって何よりも難しいことは、デビュー年に翌年のPGA ツアーに残れるだけの賞金を稼ぐことなのである。そして、実際に生き残れる新人は僅かである。

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しかし、タイガーは1年目で既に2回優勝している。こんな事は、かつて無かった。ここから、タイガーの長い神話が始まったのである。そして、今日までの10年間でタイガーはメジャー12勝を含む、52回のツアー優勝を遂げている。さらに皮肉にも、デビュー当時に先程のようなコメントを残しているシンクの前で、今回は優勝をしている。

一つ明白なのは、スチュワート・シンクには先見の明がなかったということだ。確かに彼にはゴルフの才能がある。しかし、どんなに才能があろうとも “優勝するためのマシーン・タイガー・ウッズ”を倒すには十分ではないのだ。シンクは最後まで自らの勝利を信じ、タイガーとのプレーオフに持ち込んだ。彼はプレーオフの第一ホールで優勝するチャンスがあったが、そのパットを外した。そして2度とそのチャンスは巡って来ずに、他の選手と同様に2位に甘んじるしかなかった。

今大会はタイガーにとって、先週行われた「全米プロゴルフ選手権」での容易な勝利とは異なり、真剣に挑んだ戦いであった。しかし、ゴルフの神様が味方についている今のタイガーには、何一つ障害はない。その証拠がまさに、2日目の18番ホールである。彼の2打目は、観客席やクラブハウスを越えていった。30分間の審判員の協議の上、OBにはならずにグリーン近くでドロップすることに決まったのである。これには、タイガー本人も非常に驚いていた。結局このホールは、ダブルボギー、またはトリプルボギーになるところをボギーとした。また、プレーオフ最初の2ホールは沢山の木々やバンカーが彼の前に立ちはだかったが、無駄であった。彼は大きな石や勝利のマシーンでもなく、まさにチャンピオンと呼ぶにふさわしい選手である。そして、彼は来週のボストンでの大会で出場試合連続5度目の優勝に挑戦をする。

MARCY JULIEN(マルシー ジュリアン)
スポーツジャーナリスト。フランス出身の30歳。
フランスの新聞、テレビ、ラジオ等で活躍後、2005年末より日本在住。
専門はスポーツ全般だが、数年前よりゴルフの世界で活動中。

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