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アウトオブバウンズな世界紀行

「勇気のいるサウナ」Levi, Finland

2019/07/13 13:00

決断に許された時間は短かった。バスタオルを置いていくか、それとも持っていくか。オーストリア人のおっちゃんは、素っ裸でなにも持たずズカズカと洗い場に入っていった。隣のドイツ人は、いちおう手に握っている。もちろん、男だけなら気にしないが、脱衣場の前で別れたフィンランド娘は、こっちのサウナに一緒に入ると言っていたのだ。礼儀や習慣の違いというのは言いわけに過ぎなかった。やはり手ぶらは無理だった。自分はただ、全裸で女子を待ち受ける勇気がなかったのだ…。

(これは取材で世界を旅するゴルフ記者の道中記である)

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人口530万人のフィンランドには、約200万個のサウナがあるという。寒い冬に身体を温めるには最適だが、夏になってもフィンランド人はサウナに入り浸る。そもそも、“サウナ”という言葉自体フィンランド語だ。なぜ、彼らはそんなにサウナが好きなのか?

いや、そんなことよりも、いまは本題に話を戻そう。洗い場のシャワーで身体を流し、それからバスタオルを腰に巻いてサウナに入った。長い髪を後ろで束ねた先述のアウトローなオーストリア人は、正面にどかっと座ってなんの気兼ねもなく大股を広げている。その隣のドイツ人は、ざっくばらんにタオルを遊ばせている。そんな中でバスタオルを腰に巻くことに感じる引け目は、勇気のなさから来る自責だろうか?

そうこうするうちに、ドアの外から「みんな、ちゃんとしている?」という声が聞こえてきた。なにが“ちゃんとしている”定義なのかはわからなかったが、ようは“入っても良いか?”という問いかけだ。「オフコース!」とオーストリア人は自信に満ちた声で即答した。その声に反応するように、ドアが開いてフィンランド娘が入ってきた。ちらりと横目で見てみると、ワンピースの水着姿だった。安堵と失望…。その複雑な心境は、男性諸氏にわざわざ説明する必要はないだろう。

われわれは、約一週間のビジネストリップをともにする仲間だった。フィンランド娘がホスト役で、同国の名所や観光地を巡っていく。だから、まったくの他人ではなかったし、かといって友人というほどにはまだ親しくなかった。サウナを出てビールを飲んでいると、フィンランド娘は「私たちは裸になることは気にしないの」と教えてくれた。「フィンランド人はすごく自分のスペースを必要とする。だから、最初はシャイに見えるかもしれないけど、打ち解けたらすごく距離が近くなるの…」。今回は日本の習慣に対して気を遣ってくれたようだった。

湖畔のサウナで身体を温めて、そのまま全裸で湖に飛び込むような写真をよく目にするが、それはやはりフィンランド人の日常であるようだ。湖と森に囲まれた幻想の国。心と身体を開くことで得られる解放感。自分はまだまだ修行が足りないな。(フィンランド・レヴィ/今岡涼太)

今岡涼太(いまおかりょうた) プロフィール

1973年生まれ、射手座、O型。スポーツポータルサイトを運営していたIT会社勤務時代の05年からゴルフ取材を開始。06年6月にGDOへ転職。以来、国内男女、海外ツアーなどを広く取材。アマチュア視点を忘れないよう自身のプレーはほどほどに。目標は最年長エイジシュート。。ツイッター: @rimaoka

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