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2018年 全米オープン
期間:06/14〜06/17 シネコック・ヒルズGC(ニューヨーク州)

三田村昌鳳×宮本卓 ゴルフ昔ばなし

“演出を超えるドラマ”それが全米オープンの醍醐味だ/ゴルフ昔ばなし

2018年のメジャー第2戦「全米オープン」は14日(木)、ニューヨーク州のシネコック・ヒルズGCで開幕します。ゴルフライターの三田村昌鳳氏とゴルフ写真家・宮本卓氏による対談連載の“全米オープン編”は今回が最後。大会は今年で118回目を迎えます。後世に語り継ぐべき名場面を2つピックアップしました。

■ トリーパインズの伝説のガッツポーズ

―全米オープンの、いやゴルフのメジャー史において欠くことのできない一戦のひとつが、ちょうど10年前の大会。現在、タイガー・ウッズの最後のメジャー優勝となっている2008年大会です。最終日に首位でホールアウトしていたロッコ・メディエイトを追い、1打差で迎えた最終18番でウッズはバーディを決めて渾身のガッツポーズ!翌日のプレーオフに持ち込んで勝利をもぎ取りました。

全米ゴルフ協会のユーチューブ

宮本 タイガーのトリーパインズGC(カリフォルニア州)での優勝は印象的。バーディが必要な場面で獲る人が、やっぱりスーパースターなんだよね。僕らはそこに興奮するわけだ。いま思い出すだけでも、本当にすばらしかった。タイガーがプロ転向してからしばらくは、ああいう、ショットが曲がり倒しても何とかするという派手なゴルフだった。1997年に「マスターズ」を初めて勝つまでは、大逆転という展開が多かった。アーノルド・パーマーみたいにショットを曲げても、どんどんピンを狙う…。そうやってファンが増えていった。それからはスマートになって逃げ切りで勝ちをさらうことが多くなった。だからこそトリーパインズでの勝利は、昔のタイガーのゴルフを久々に見たと感じられた。
三田村 ウッズが出てきてからは、本当にミラクルショットの定義が分からなくなってしまった(笑)。若いころは全部が奇跡的なショットで、だんだんそれが普通になってきてしまったからなあ。予測できる勝ち方をしない。「ウソだろ…」を何度もやってのける。それこそがスーパースター。
宮本 ただ、メジャーですごいプレーが生まれるのも、彼らは毎週PGAツアーのセッティングで鍛えられているからだと思う。毎週厳しい環境で腕を磨いて、そんな選手たちがみな「絶対に勝ちたい!」と思うのがメジャー。尻尾をまいて逃げ出したくなるようなセッティングで、伝説的なシーンが生まれるんだ。

■ 目くるめくレジェンドたちのドラマ

―ウッズは今年、3年ぶりに全米オープンの戦いに挑みます。一方、フィル・ミケルソンには今年もキャリアグランドスラムがかかり、最近は世界ランキング1位の選手に関する話題も豊富。勢いのある20代の選手の活躍も目立ち、ファンのワクワクは止まりません。

三田村 マスターズもそうだけど、米国はそれぞれの“テーマづくり”がうまいよね。ペブルビーチGL(カリフォルニア州)で行われた2000年大会は、中でも秀逸だった。前年の1999年の全米オープンで優勝したペイン・スチュワートが、その年の10月に飛行機事故で他界した。だから、まず追悼ムードを演出し、誰もが偉大なチャンピオンに思いをはせて試合を迎えた。多くの人がそれでトーナメントに引き込まれていった。
宮本 その大会はジャック・ニクラスが出場した最後の全米オープンでもあった。結果は予選落ちだったが、2日目の最終18番(パー5)で2オンをする。左サイドに海を臨む、ペブルビーチのあのホールでの2オンは、プロゴルファーにとっても夢のひとつでもあった。トム・カイトが優勝した1992年大会で、ジャンボ尾崎は「ここで2オンにトライすることが自分の人生…」と言った。それがジャンボのゴルフの美学でもあった。ティショットで海を避けて右に逃げると、OBもある難しいホール。ジャックはそこでの引き際に2オンしちゃうんだから…。
三田村 キャディに据えた息子と、18番を歩いていたときの会話がテレビでも流れる。「親父、大丈夫?涙でラインが見えないんじゃない?」ってね。
宮本 2005年にセントアンドリュースでの「全英オープン」で引退した時には、最後にバーディを決めてしまう…。今年の「マスターズ」でもパー3コンテストで、孫がホールインワンしちゃうんだから…。ああいう、あり得ないことが起こる。人々の想像の上を行くのがレジェンドなんだね。
三田村 開幕前はスチュワート、予選2日間はニクラスという話題がトーナメントを引っ張った2000年大会。そして、締めくくりはウッズだった。2位に15打差をつける圧勝。歴史があんなに見事につながっていく。“三段重ね”の演出なんて、普通はありえないでしょう?ファンはそんな展開をいつも期待してしまうんだ。

三田村昌鳳 SHOHO MITAMURA
1949年、神奈川県生まれ。70年代から世界のプロゴルフを取材し、週刊アサヒゴルフの副編集長を経て、77年にスポーツ編集プロダクション・S&Aプランニングを設立。80年には高校時代の同級生だったノンフィクション作家・山際淳司氏と文藝春秋のスポーツ総合誌「Sports Graphic Number」の創刊に携わる。95年に米スポーツライター・ホールオブフェイム、96年第1回ジョニーウォーカー・ゴルフジャーナリスト賞優秀記事賞受賞。主な著者に「タイガー・ウッズ 伝説の序章」(翻訳)、「伝説創生 タイガー・ウッズ神童の旅立ち」など。日本ゴルフ協会(JGA)のオフィシャルライターなども務める傍ら、逗子・法勝寺の住職も務めている。通称はミタさん。

宮本卓 TAKU MIYAMOTO
1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。通称はタクさん。
「旅する写心」

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