ゴルフ界にもトランプ氏放言の余波 PGA・オブ・アメリカが会場変更
2015年 全英リコー女子オープン
期間:07/30〜08/02 場所:ターンベリー(スコットランド)
渦中のトランプ氏がヘリで登場 選手は困惑も/全英リコー女子オープン
2015年の海外女子メジャー第4戦「全英リコー女子オープン」は喧騒の中で開幕を迎えた。会場のスコットランド南西部、ターンベリーは昨年4月、米国の不動産王ドナルド・トランプ氏が買収し「トランプ・ターンベリー・リゾート」としてリニューアル。来年の米大統領戦に向けた共和党の候補指名争いと過激発言による騒動の渦中にいるトランプ氏が、大会初日の30日(木)に来場した。
午前10時35分。轟音は、18ホールの大部分にも響き渡った。女子メジャーの舞台に隣接する、高台のリゾートホテルの駐機場。トランプ氏のプライベートヘリが降り立った。その数時間前には、米国のニュースサイトが立て続けに「トランプがスコットランドに向かう」「英国でも選挙活動へ」と報道。コースで選手を追っていたはずのカメラは空へ向き、プレーヤーもその先に目をやった。
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トランプ氏は先月、指名候補に名乗りを上げた際、米国への中南米系移民について「強姦魔」などと表現し、騒動後も発言を撤回していない。
全米プロゴルフ協会(PGA・オブ・アメリカ)は、10月に同氏の保有コースで開催予定だった「PGAグランドスラム」の会場の変更を決定。続いて全米女子プロゴルフ協会(LPGA)のマイク・ワン・コミッショナーが、時間的な制約により今大会の会場変更は不可能としたものの「トランプ氏の発言を支持するものではない」とする声明を発表していた。
この日のメディアからの質問は「ゴルフに関すること」に限定されたが、トランプ氏は「Make America Great Again」と政治キャンペーンのスローガンが刻まれた赤いキャップで登場。同コースでは2009年に男子の全英が行われ、今後の開催についても「何の問題もないはずだ。私が米国で不法移民について言ったことは真実」とコメント。「何年かかけて改修すれば、ここは世界でも最高のキャンバスになる。R&Aも望んでいるはずだ」「きょうプレーしている女子選手もここはツアーでも最高のコースと話している」と続けた。
出場選手たちも開幕前に困惑した様子をうかがわせた。ミッシェル・ウィは「この問題にはあまり関わりたくない…。今週のすばらしい試合から、私たちを遠ざけてしまうと思う」と言葉を濁した。ローラ・デービース(イングランド)は「どうすべきか誰も分からない。PGAツアーのイベントが(トランプ氏保有のコースから)別の会場に移そうとなったら、私たちもそうなるのかなと思う。ただここ(ターンベリー)で、もうプレーできないということになったら、それは悲劇」と話した。