古江彩佳 プロフィール
2022年 ゲインブリッジLPGA
期間:01/27〜01/30 場所:ボカリオGC(フロリダ州)
「成功も失敗も楽しみたい」/古江彩佳 単独インタビュー
◇米国女子◇ゲインブリッジLPGA at ボカリオ 事前(24日)◇ボカリオGC (フロリダ州)◇6701yd(パー72)
異国の地での成功を夢見てギラギラする若者をイメージしていると、あまりにいつも通りで肩透かしを食らうような思いかもしれない。米国女子ツアーメンバーとしてのデビュー戦を控えた古江彩佳は驚くほど自然体だ。
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「(気持ちの高ぶっているところと)半分半分ってところですかね。『米国で戦う』というのがウソのような感じというか、実感があまりないというか…“試合始まるぞ”って感じまでは、そんなにまだないかな(笑)」
■“意気込まない”強さ
昨年末の最終予選会(Qシリーズ)を突破した時点では現地での参加が義務付けられていたルーキーセミナーは、コロナ禍でいったんオンラインでの受講も認める方針に変更され、最終的に延期が決まった。トーナメントウィーク直前に渡米して入ってきたコースでは変わらぬリラックスムードを漂わせる。
「“意気込まない”じゃないですけど、(自分の中で)意気込みすぎは良くないんです。頑張りたいってところで力が入りすぎたり、空回りしやすいタイプ。プロになって試合をやっていく中で毎週結果が(数字として)出ますし、家に帰っても録画したテレビの映像を見返すんですけど、優勝したときはやっぱり(純粋に)楽しんでいる。だから、(普段は)気楽な気持ちでいきたいし、なるべくフラットにいたい。最後に“やるしかない”って場面は嫌いではないから、ちょっと矛盾しているかもしれないですけど」
19歳でアマチュア優勝を飾ってから2年余り。プロとして短いキャリアながら冷静に積み重ねた自己分析は、昨季国内ツアー最優秀選手賞という結果となって表れた。
■“予想外”の米挑戦
Qシリーズ挑戦の決め手となったのは、母・ひとみさんを通じて伝え聞いた李知姫(韓国)からの「若いうちに行った方がいいよ」というひと言だった。見事にツアーカードを獲得し、2022年の挑戦を前にして、上田桃子や申ジエ(韓国)ら海外での経験豊富な選手たちにアドバイスも求めた。ゴルフのことはもちろん、拠点などの生活面についても情報収集。一方でこだわりをのぞかせるのが帯同キャディ。昨年の海外メジャー2試合、さらに2週間のQシリーズでバッグを担いでもらったマイク・スコットさんに再びお願いした。
「そこ(日本人の帯同キャディ)はあんまり考えなかったですね。英語に早く慣れていきたいというところもありますし、去年の全英とエビアンでマイクさんにお願いして何とかやれた。自分の気持ちを大体わかってくれて、説明をしてくれるところもあるので、同伴競技者とのコミュニケーションとか、そういう面でも助かる」
目を輝かせていたフロリダ州とカリフォルニア州にあるディズニーワールド以外にも「ニューヨークとかロサンゼルスとか、世界遺産とか、名前だけで全然調べたりはしていないですけど、有名なところにも行ってみたいなとは思いますね」。英語圏での生活にいち早くなじみ、コース内外での全てを楽しんでいこうとする姿勢がにじむ。
「想像もしていなかった大きなステージというか、いい意味で予想外の一歩を踏み出そうとしている。その(予想もつかない)感じが楽しい。やるからには優勝したい気持ちはありますけど、まずはホントに楽しむことが一番かなと思います。自分のゴルフをうまくやっていきながら、トーナメントで失敗することもうまくいくことも、全部楽しめたら」
■“らしい”目標設定
メジャー優勝、世界ランキング1位…トップレベルで戦うゴルファーなら誰もが口にする目標への意識を問われても、笑顔で首を横に振った。
「そこは本当にしていないですね。(最初から大きな目標にとらわれると)私の頭はパンパンになってしまう。目の前のことに集中して、あとから結果としてついてきてくれたらいい。日本でやっているときもずっとそうだった。目標じゃないかもしれないですけど、たくさん経験をすること。その上で、まずはシードを目指して頑張りたい」
地道に、着実に、謙虚に。古江らしく新たな舞台へと挑んでいく。(フロリダ州ボカラトン/亀山泰宏)