松山英樹 今平周吾 石川遼 /男子代表争いの行方
2021年 東京五輪
期間:08/04〜08/07 場所:霞ヶ関CC(埼玉)
畑岡奈紗 渋野日向子 鈴木愛 東京五輪へそれぞれの思い
東京五輪女子ゴルフは霞ヶ関CC(埼玉県川越市)で8月5日に開幕する。女子代表は、直前の世界ランキングをもとにした五輪ランキングによって6月30日に決定。年末の世界ランクでは、6位の畑岡奈紗が一歩リード。渋野日向子が11位、鈴木愛が15位につける。基本は1つの国・地域の上位2人に切符が与えられるが、世界ランク15位以内に3人以上が入れば、最大4人までが出場できる。それぞれが、自国では初開催となる五輪ゴルフ競技へ思いを募らせている。
■畑岡奈紗
2020年の目標は「世界一」。畑岡奈紗が目指すのは、主戦場の米ツアーで3勝をクリアしたうえでの世界ランキング1位と東京五輪での金メダルだ。地元茨城では聖火ランナーも務める。
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五輪でイメージするのは、「ウサイン・ボルト選手ですかね」という。陸上部に所属していた中学時代の2012年、ロンドン五輪男子100mでボルト選手は自身が持つ五輪記録を更新する9秒63で優勝した。いま気になるのは、テニスの大坂なおみ選手。「やっぱり(同じ)アメリカでやってますし、年齢も近いので結構気にかけて見てます」
他の競技では、4年をかけて五輪代表の座をつかむアスリートも多い。「意外とゴルファーって、そう考えている選手が少ないのかなと。でも私は、そういう方みたいにオリンピックは(4年に一度の)結構大きな目標。他の(競技の)選手も見てみたい」と渇望する。
五輪では国を背負って戦う。「ウエアに日の丸が入ったり、JAPANと書かれていたりすると、よりそういう意識は強くなる」と、今から思いを巡らす。
■渋野日向子
渋野日向子が真っ先に思い浮かべるのは、2008年北京五輪のソフトボール日本代表の金メダルだ。当時9歳。ソフトボールに夢中で、上野由岐子投手の力投を岡山県の自宅で見ていた。
上野投手はアメリカとの決勝戦を含め、2日間3試合を一人で投げ抜いた。「上野の413球」は、渋野も昨年ノミネートされた「現代用語の基礎知識選 ユーキャン新語・流行語大賞」で、その年の選考委員特別賞に輝いた。歓喜の輪の中心にいる大エースの姿を「すごくはっきり覚えています。今も動画で見ます」。記事を切り抜き、五輪への思いを強めた原点だ。
中学時代に入部した野球部の顧問の勧めもあってゴルフ一本に絞ったが、いまも好きなスポーツはソフトボールと言い切る。ソフトボールが五輪競技として3大会ぶりに復活し、7月28日に予定されている決勝戦も「絶対に見に行きたい」と話していた。2019年に「AIG全英女子オープン」を制し、世界ランク日本勢2番手に浮上したことで「見に行けないかも」と苦笑しつつ、ともに日の丸を背負うという夢は現実味を帯びている。
昨年9月にはテレビ番組の企画で「神様」と敬意を表する37歳で現役の上野投手と対談し、覚悟を聞いた。「ソフトボールの選手たちと一緒に出たいです。金メダルを獲りたいです」。目標は明確だ。
■鈴木愛
鈴木愛は五輪代表入りについて多くを語りたがらない。「前回の厳しい争いも見てきた。もちろん出場したい。ただそこだけを考えすぎないようにする、というか…」。4歳下のライバル2人より、はるかに慎重に言葉を選ぶ。
112年ぶりにゴルフが正式競技に復帰した2016年のリオデジャネイロ五輪の日本代表レースは、圏外から注目していた。野村敏京が頭一つ抜け出し、残る1枠を姉のように慕う大山志保、親交の深い宮里美香、1学年上の渡邉彩香が争う構図だった。3人が出場した代表争いの最終戦「全米女子オープン」までもつれ、大山が五輪切符をつかんだ。
代表入りを逃したことと因果関係は不明とはいえ、その後、宮里はモチベーション維持に苦しんだ時期があり、渡邉は調子を落とした。4年の歳月を考えれば、喪失感の大きさは想像に難くない。
昨年の夏前までは日本勢2番手で盤石といわれていた代表入り。全英女子の1試合で世界ランクは渋野に逆転された。状況がすぐに変わることは、身をもって知っている。「(五輪を)目標にしています。でも、そこだけを考えることはしない。とにかく目の前の試合に勝つこと」。ツアー屈指の練習の虫にとって、普段の努力の延長線上に日の丸がある。