アジア選抜、逆転負けで優勝逃す!遼、勇太、峻輔の日本勢はシングルス全敗
2011年 ザ・ロイヤルトロフィ
期間:01/07〜01/09 場所:ブラックマウンテンゴルフクラブ(タイ)
<キャプテン・ジョーが腹の底から笑える日はいつ……?!>
2011/01/14 16:30
今年のアジア対欧州の対抗戦「ザ・ロイヤルトロフィ」はタイのホアヒンにあるブラックマウンテンゴルフクラブに会場が変わった。当地はバンコク市内に比べ、気温が2~3度低く、またまだまだ未開発の地で、観光客もさほどではなく、美しくも静かなビーチは「大人の避暑地」として、知る人ぞ知る穴場だそうである。
確かに交通量も市内ほどではなく、空気も澄んでいて過ごしやすかったのだがいかんせん、バンコクからは遠すぎた。現地の“名ドライバー”の運転で高速を使い、時速140キロ(!!)で順調に飛ばして約2時間半。しかし、市内付近でタイ名物の大渋滞に巻き込まれたら最後、3時間…いや4時間かかっても不思議ではないという距離。
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それでも、パーティや記者会見、組合せ発表会など本戦前の各種イベントは、市内で行われるからひと騒動だ。5日(水)の前夜祭と、翌日は6日(木)の両キャプテンによる組合せ発表会では選手たちに専用機が用意され、また、空港までの車の移動はパトカーの先導がつくというものものしさで、まさに大臣級のVIP待遇による大移動が実施された。
我々ジャパンゴルフツアーのスタッフも、便乗させていただいた。前を行く車がパトカーに気付いて道を空けてくれ、スルスルと渋滞をすり抜けていく様は、ちょっとした優越感!!もちろん、我々庶民はチャーター機に乗るなんてのも初めての経験だ。表向きは、平静を装いつつ、内心は「どんな感じなんだろう?!」と、大興奮……!!
バンコクのドンアム空港に着いても、選手専用車はたくさんの旅人で賑わう出発口を横目に真っ直ぐと直進していく。そして、秘密の裏口へ。まるで米人気ドラマの「24」にでも出てきそうな薄暗いトンネルをくぐると、あっという間に滑走路の端っこに出た。
誰もいない待合室。きちんと手荷物検査場こそあるのだが、チケットもないし、座席指定の案内もない。タラップをのぼってお好きな席に自由にどうぞ、だ!!ホアヒン空港まで、わずか30分ほどのフライト。離陸の瞬間はすべての照明が消され、機内がまさに真っ暗闇になる点が、通常の飛行と違うくらいで、ちゃんと美人のスチュワーデスさんもいて、安全飛行中は満面の笑みでジュースと軽食を渡してくれる。
乗り心地も、眼下に眺めるタイの夜景も、通常のフライトと何ら変わりはないはずなのだが、それでもやっぱり何かが違う。「チャーター機に乗ってるんだ!」というワクワク感。「こんな経験させてもらえるなんて、ありがたいなぁ」などと、しみじみと浸ったりなんかして……。
と、そのときだった。最後列に陣取ったアジアのキャプテン・ジョーこと尾崎直道が暗闇の中で、大きな溜息とともに吐き出した。疲労に声を震わせながらひとこと。「嗚呼、ほんとうに疲れたよ……」。前夜のパーティも合わせると2連続の4往復。今も米シニアのチャンピオンズツアーで精力的に海を渡る54歳にも、さすがに堪える。
だけどキャプテン・ジョーの凄いところはオフィシャルな場では、そんな素振りはいっさい見せないこと。むしろ、面前に出るやたちまち満面の笑みを浮かべて、何度も大きく手を振ってみせるから、あっぱれだ。そう、ちょうどこの写真のように……。
そして大逆転負けを喫した最終日も最後まで、アジアの勝利を信じて選手たちを明るく鼓舞し続けた。そんなジョーだからこそ、ぜひ今年は“王冠”を持たせてあげたかった。苦労が報われるのは、栄冠を手に入れる瞬間しかない。来年こそキャプテン・ジョーには腹の底から思い切り笑って欲しい。