屈指の飛ばし屋、小田孔明のスイングをスーパースローで!
“遼マニア”の包囲網にも屈しない、小田孔明の強さの秘訣とは・・・
“遼マニア”の包囲網にも屈しない、小田孔明の強さの秘訣とは・・・
ゴルフコンペの表彰式で「今日はメンバーに恵まれました」とはお決まりの優勝コメントだが、それはプロトーナメントの世界にも当てはまる。同伴競技者との相性が、その週の結果に大きな影響を与えることもあるのだ。
<< 下に続く >>
昨年5月の「三菱ダイヤモンドカップ」で38歳にして、悲願のツアー初優勝をあげた兼本貴司は今でも「あのとき中嶋(常幸)さんと、最終日最終組でまわっていなかったら僕の優勝はありえなかった」と断言しているし、片山晋呉はジャンボ尾崎とのラウンドでなおいっそうの実力を発揮する傾向にあるといい、「ジャンボさんとまわると1本ピンと線が通った感じで気合いが入る。相性が非常に良いんです」と、証言している。
残念ながら、その逆ももちろんあり、選手たちの名誉のためにもこちらの例は挙げないが、同じ組になったら最後、互いに“乱打戦”の様相を呈することもあるほどだ。また、相性うんぬんとは関係なしに回りづらい相手というのもあって、最近の顕著な例は、やっぱり石川遼だろう。言うまでもなく、石川のマナーが悪いとか、他の選手に嫌われているとか、そういう理由では絶対にない。
問題なのは、石川を観戦される側のほう。ギャラリーのみなさんのマナーが取り沙汰されるようなってもう久しいが、プレー中に写メールのシャッター音が鳴ったり、ショットの瞬間に歩かれたり、大きな声を出されたりしたら誰だって気が散ってしまう。その被害は当然、石川本人だけでなく、同じ組でまわっている選手にまで及んでしまう。石川びいきのギャラリーにやられるのだ。そんな例が、昨年は後を絶たなかった。それだけに、選手会でマナー啓発ビデオを作成するなどその撲滅に取り組んでいるが、根治にはまだまだ地道な活動と、時間を必要とするだろう。
だがそんな中で、こんな頼もしいことを言う選手がいる。「僕は、遼くんとの相性が凄く良いんです。一緒にまわると調子が良い」。周囲の喧噪も、むしろ「力になる」というのが、ツアー3勝の小田孔明だ。「みんなが遼くん、遼くん言うと、かえって“お~し、やってやろう”と言う気になる。遼くん目当てのファンが、ザワザワしてくれればくれるほど、僕は闘志が湧いてくる」という小田は、昨年11月の「カシオワールドオープン」で連覇を達成。また、さかのぼって4月には、「スタートダッシュ」を誓った開幕戦「東建ホームメイトカップ」でツアー2勝を飾った。
“有言実行”は歴代の賞金王の片山の専売特許だったが、小田もまた目の前に困難が横たわるほど、また目指すものが大きければ大きいほど、無類の集中力を発揮する選手である。そんな小田が、今年は「打倒・遼」を掲げている。昨年も公約に掲げた賞金王の座。しかし、18歳の前に屈しているだけに、なおさら鼻息荒い。しかも、ライバルはもう1人いる。昨年の賞金ランク2位の池田勇太だ。小田は同ランク3位に甘んじた。若い2人に2トップをみすみす譲った悔しさが、2010年の原動力だ。
「遼も勇太もすっごくいい子で。普段は“孔明さん、孔明さん”と慕ってくれるけど、コースに出たらそこは“戦場”。遼にも勇太にも、絶対に負けない!」と、挑戦状を叩きつけた小田は、今年も早々に仕掛けてくるだろう。まずは、自身2度目の連覇をかけて立つ開幕戦。骨太な32歳が今年こそ、天下を獲るか。