池田勇太、石川遼の最終組に割って入る手嶋多一の心境は?
ツアープレーヤーたちのアテネ五輪<手嶋多一>
連日、メダルラッシュのアテネ五輪。先週までちょうど2週間のオフだったツアープレーヤーたちも例外なくブラウン管にくぎづけで、寝不足の日々が続いたようだ。
中でも、今年の選手会長・手嶋多一が注目していたのは、ハンマー投げの室伏広治選手だった。
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実は2年ほど前、室伏に会ったことがあった。
それはある年のオフシーズンに、同じミズノ所属のアスリートたちが集結して開かれたゴルフコンペだった。初心者の室伏はラウンドこそしなかったものの、余興でドライビングコンテストに参加した。
大勢のギャラリーが見守る中で放った室伏選手のショットは、残念ながら大シャンクだったのだが、手嶋が度肝を抜かれたのは、その後室伏がとった行動だった。
コンペ終了後に行われたパーティに、ずいぶん遅れてやってきた室伏。理由を尋ねたら、なんと「練習場で300球、打ってきました」と、答えたそうだ。
「ビギナーなんだから失敗しても当たり前なのに、ミスショットしたのが相当に悔しかったみたいで。まっすぐ打てるようになるまで、夢中で練習してて時間を忘れてしまったっていうんですよ。自分の得意分野以外でもそうやってムキになる・・・。その執念こそが、世界舞台での活躍につながっているんだな、と痛感したものでした」。
その室伏は、ハンガリーのアドリアン・アヌシュのドーピング(薬物使用)違反で繰り上げ金メダルを受賞。「むちゃくちゃ感動しました」と、室伏の活躍を振り返った手嶋。
そのアテネ五輪が閉幕した直後の来月9月4日には、折りしも韓国対日本の対抗戦「ヨンチョンバーチヒルズ日韓男子ゴルフ対抗戦」が開幕する。この大会で、手嶋はノンプレーイングキャプテンを務める。マッチ戦の対戦相手を決めたり、チームの士気を高めたり・・・。日本代表キャプテンとしての責任は、大きいのだ。
対する韓国勢はチーム全員が前週のうちにすでに開催地の母国・韓国に集結して合宿を張り、作戦会議に余念がないとのうわさも舞い込んでいる。
「ライバル国がそれほどまでにこの大会にかけていると聞いて、日本チームも負けられないと。オリンピックのように『日の丸を背負って』とまでは言わないまでも、記念すべきこの第1回大会。室伏さんたちメダリストのみなさんの活躍を見習って、ぜひ日本に勝利を持ち帰りたいものです」。
アテネの熱気が、キャプテンの心に火をつけたようだ。