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今季2勝目<片山晋呉>ABC チャンピオンシップ

2005/10/31 12:00

26日水曜日のプロアマ戦。そのあとに行われた表彰パーティでのことだ。大会主催の朝日放送(株) 西村嘉郎・代表取締役社長がされたスピーチの内容を、片山は忘れていなかった。
「最後の最後まで分からない。今週は、そんなスリリングなプレーで盛り上げてください」。

最終日は、この願いをかなえる大激戦。
リーダーボードは1日中、めまぐるしく動き続けた。大歓声が、コースのあちこちで轟いた。誰が勝っても不思議ではない。
そんな好ゲームを実現させたのは、もちろん片山だけの力ではない。
1打差2位でスタートした谷口徹
最終ホールでイーグルを決めたディネッシュ・チャンド
18番ホールで果敢に水切りショットに挑んだ林根基
一時は首位に立ち、初優勝の期待を呼んだ菊池純
最終日に追い上げた、丸山大輔
共にしのぎを削った戦友たちがいたからこそだ。

「僕じゃなくてもいい。きっと、誰が勝っても面白いゲームだった。たとえ5人のプレーオフでも、見に来てくれた人を興奮させることができた。この試合を見て、男子も捨てたもんじゃないってこと、みなさんに分かってもらえれば嬉しい」。
女子に比べ、男子ゴルフは元気がない、と言われることが片山には歯がゆくて仕方ない。「男子だって、絶対に面白いから見に来て!」。

プレー中のパフォーマンスも、そんな思いに溢れている。昨年のハッスルポーズに続き、編み出したのが『ワッショイ』ポーズだ。
この日つけたベルトには、バックルの部分にローマ字で『WASSHOI』ほか、6つのメッセージが出る仕掛け付きだった。

ギャラリーに喜んでもらえるようにと、さまざまなアイディアを用意して迎えた最終日。 しかしゲームの最後には、そんな周到な準備もいっさい忘れた。ディネッシュ・チャンドと通算12アンダーで並んで迎えた18番ホール。
「本能のままに動いてた」。 5メートルのイーグルパットをねじこんで、「思わず雄たけびを上げていた」。全身をバネにして、4回、5回と飛び跳ねた。
両腕を突き上げたまま向き直り、キャディの石井恵可さんと感激のハイタッチ。イメージは、「去年、マスターズで勝ったフィル・ミケルソン」だ。

計算する余裕もなく、心のままに喜びと感動を表現したパフォーマンスが大観衆の心を打った。

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