ツアープレーヤーたちのアクシデント<スコット・レイコック>
2005/02/28 09:00
約1ヵ月後には、いよいよ幕があける2005年シーズン。過酷な転戦生活の中で、1年を通していちども体調不良や、体の故障に悩まされない選手はまれである。腰痛、首痛に手首や腕の痛み…。いっぺんにいくつもの痛みを抱えながら、それでも懸命にプレーを続ける選手たちもいて、そういった意味でも、シーズンを戦い抜くのはまさにサバイバルゲーム。その中でも昨シーズンは、ちょっと風変わりなケガに泣いた選手がいた。オーストラリア出身のスコット・レイコックだ。
故障を抱えることになったそもそもの原因は、彼のあるクセからだった。ミスショットのあとにガジガジ、ボギーを打ってガジガジ、他の選手を待つ間にガジガジ…。「…そうなんだよ(苦笑)。いつでもどこでも、ツメを噛んでしまうのが僕の悪いクセ。自分ではそんなに神経質な性格ではないつもりなんだけどね。ラウンド中に『次のホールはどうやって攻めようか』なんて考えているうちにいつの間にか、噛んじゃう。そのせいで、昨年は後半戦のほとんどを棒に振ってしまったよ」。
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夏のトーナメントで、またいつものクセで、ガジガジやっていたレイコック。このとき、一緒にツメの甘皮まで歯で引きちぎってしまい、深い傷を負ってしまったのだ。「あっという間に血がにじんできて。そのあと、傷口からバイ菌が入ってしまったらしく、翌日からジクジクと痛み出したんだ」。
それでも、ガマンして試合に出続けていたのだが、数日後にはとうとう化膿して、手が倍以上に腫れあがってしまったという。「まるで、キャッチャーミットをつけてるみたい(笑)。…いや、ほんと、大げさな言い方ではなくてね。自分でもびっくりするくらいの腫れ様だったよ」と、振り返る。結局、手術が必要なほどに悪化してしまい、シーズン途中に戦線を離脱したのだった。
クラブが握れなかった約3ヶ月間は試合に出られない焦りはあったものの、ジタバタしても仕方ない。「この機会に、思いっきり体を休めよう」と家族サービスにつとめ、故郷でゆっくりと休養を取りつつ、英気を養った。ようやく傷口もいえた今年は、公傷制度を利用して開幕戦から日本ツアーに腰を落ち着け、シード権の復活を図る。同じ豪州出身で、大親友でもあるブレンダン・ジョーンズは今年から、米ツアーに本格参戦。「僕もいずれは彼と一緒にアメリカでやりたいな」と、野望を抱く。「…そのためにももう二度と、プレー中にバカなこと(ツメを噛むこと)はしない!」と、心に決めている。