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震災から4年 池田勇太が引きずってきた後悔

2015/03/16 07:28

被災地の自治体に日本ツアー選手会が福祉車 被災地の自治体に日本ツアー選手会が福祉車両を寄贈。選手会を代表して東北に足を運んだ池田勇太

東日本大震災から4年が経った東北3県に、選手会長が足を運んだ。日本ゴルフツアー選手会ではこのほど、獲得賞金の一部から拠出した復興支援金で岩手と福島、宮城の各社会福祉協議会に、それぞれ10台計30台の「スズキアルト L CVT FF」を寄贈。福祉車両として活用していただこうと、各自治体市町村の名前を入れた車体を届けるべく、選手会を代表して池田勇太が当地を訪問したのは、奇しくも3月11日だった。

「この日が寄贈式になったのは、本当に偶然だった」と池田は振り返る。この日は各地で追悼式が行われ、特に被害に遭われた方々には何より大切な1日である。本来なら、今日はただ静かに祈りを捧げたい。そう考えられていた方も大勢おられよう。そこは痛いくらい想像がつくだけに、「誰も、無理にこの日にしようなんて思ってはなかった」。それでもいくつかのご縁に恵まれ、結局この日が寄贈の日となったことに、池田は「やっぱり」と、思わなくてはいられなかったようだ。

改めて、あの日をじっくりと思い返してみるチャンスを与えられたと、池田は感じたという。そして、意外な思いを打ち明け始めた。「俺はずっと後悔してきた」と、池田は言ったのだ。

4年前のあの日、「俺は、アメリカにいたんだ」。悲報を受けたのは、世界ゴルフ選手権の「WGCキャデラック選手権」の会場。「すぐにでも帰国するか、あのときすごく迷った」。地元の千葉も一部被害を受けて、池田自身も家族や知人の安否確認に追われる中で、自身も遠くにいて何も出来ない苛立ちと、不安の中で数日を過ごした。

国内は混乱状況にあり、翌月に2年連続2度目のマスターズの出場も控えていた池田。逡巡の末に、日本での対応はスタッフや関係者に任せることにして、そのまま米国にとどまり、オーガスタに備えてアメリカで調整を続けることに決めたのだった。

「あのとき自分には、マスターズで活躍する姿を見せることしか日本に届けられるものは何もないと思い込んでたんだ」と池田。「でも・・・」と、苦々しい顔をして、「俺はあのとき間違った決断を下したと、今ではたいへん後悔している」。

破天荒な物言いや、人並み外れた行動力ばかりが取り沙汰されるが、素顔はもの凄く人に気を遣い、常に細やかな心配りで相手の気持ちを思いやる。非常に思慮深い選手でもある。それでも、「後悔」という言葉だけは、どこか無縁に思えていた。豪快で、気っ風がよく、済んでしまったことはどんなことであれ引きずったりしない。その点では、小気味よいくらいに前向きで、思い切りのよい性格だろうとタカをくくっていたのだ。

でも、実は4年も引きずってきた。池田は言う。

「あのとき自分は、本当なら1日でも早く帰って日本で、自分の故郷で、起きてはならないことが起きてしまったという現実を、自分のこの目で見て、一番大変なときに、被害を受けた方々のそばにいて、その声を自分の耳で聞いて、いま自分が本当にすべきことはなんなのかを日本で真剣に考えてみるべきだった。俺はあのとき、してはならない過ちをおかした」

早口で一気に言った。本人からの意外な告白とはいえ、なんだか触れてはいけないような、見てはいけないものを見てしまったような、そんな気まずさを感じて、つい筆者は言ってしまった。「なんだか・・・重いですね」。と、池田はふいに語気を強めて「重いよ! 重いんだよ。今日はそういう日なんだよ。こういう日に軽い話をしてどうすんだ?!」。

なんとなく息苦しくなった空気を変えたい気になってしまい、つい変な合いの手を入れてしまった自分を、筆者は詫びた。「スミマセン・・・」。すると、池田もふと口調をゆるめて、「いや・・・・・・。あんなことはね、本当に、あんなことはもう2度とあっちゃならないんだけど、それでもさ。いつ何が起きるか分からないこの世の中で、もしもまたいつか同じような目に日本が遭ったときには俺は、あの日と同じような過ちは、もう絶対にしちゃいけない。そう思ってさ」。

あのとき、池田は25歳。その2年後に、史上最年少で選手会長に就任してから3期目の今年は、いよいよ「会長として、集大成の年にする」と、話している。「20代も最後の年だしね」。デビュー当時は“若大将”と呼ばれた池田も、もうすぐ30歳を控えて、ちょっぴり苦笑いで「いろいろ人生経験、積ませてもらってますよ」。円熟味すら漂わせ始めた選手会長の決意のシーズンが、もうすぐ始まる。


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