高橋竜彦が、2006年度のツアープレーヤーNO.1に/UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ
2006/07/03 09:00
14番で長いバーディパットをねじこんだ。15番で、同じ組の中嶋常幸がボギーを打って差は4つ。そのとき、胸に一気に沸いて出たのは「勝ちたい、というよりも“勝たなければ”という思い」。
ますますプレッシャーは高まった。
応援してくれるギャラリーは、「ほとんど高橋の勝ち」と思うだろう。
その期待を裏切るわけにはいかない。
朝、スタート前のロッカールームでも、「ヤバイくらい緊張していた。果たして、これで球が打てるのかというくらいに」。
ツアープレーヤーNo.1を決める今大会は、なんとしても欲しいタイトル。
「勝ちたい」と思うほどに高鳴る鼓動。
しかし、1番ティでリーダーとしてコールされた瞬間、ふと我に返った。
「俺は、これを味わうためにやっている」。
痺れるほどの思いをしながら、ゴルフができる。
「俺って、幸せだ」。
プロとして、それ以上のことはない。
だから、優勝争いの重圧からは、あえて逃げなかった。全身で受け止めながら戦った。
2番パー4で、前方を木に阻まれた。
「スタイミーになった第2打を、カット目に打ってぴったりとつけた」。
このバーディに、勢いづいた。
常に、自分の順位を確認しながらのプレー。
「状況は、すべて把握した上で戦いたい」。
それが、いつもの高橋のやり方。
11番で、平塚が首位に並んだが「逃げたら負けだ」。
強い気持ちは消えなかった。
その週、好調のショットが支えだった。
この日最終日は特に、フェアウェイを外したのは12番ホールだけという完璧な出来。
最後のティショットがフェアウェイを捉えたとき、ウィニングパットを待たずに中嶋が、「優勝おめでとう」と言ってくれた。
“あこがれの人”との直接対決を制した。
しかも、「ラッキーだけでは勝てない」この難コースで。
ずっと「日本のメジャーで勝つこと」が夢だった。
優勝賞金3000万円には、5年間のシード権と8月のWGCブリヂストン招待の出場権までもがついてくる。
「今日は、僕のゴルフ人生最大の出来事」。
大舞台で頂点に立った。その感動と誇りが全身から滲み出ていた。