遼、全英では「過信しないで戦いたい」
ツアープレーヤーたちの統計<石川遼>
17歳は西に強し!? こうなると、不思議な縁を感じないではいられない。石川遼が、ツアー通算3勝目と全英オープンの出場権をもぎとった「ミズノオープンよみうりクラシック」は、兵庫県のよみうりカントリークラブでの開催だった。そして昨年のツアー2勝目は、やはり兵庫県のABCゴルフ倶楽部(マイナビABCチャンピオンシップ)だった。
さらに当時はツアー競技ではなかったが、昨年8月の「関西オープン」は滋賀県の滋賀ゴルフクラブでの開催。そしてツアー初優勝の「マンシングウェアオープンKSBカップ」の開催コースの東児が丘マリンヒルズゴルフクラブは岡山県・・・。
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選手には誰にでも相性の良いコース、土地といったものが少なからずあるものだが、石川の場合は特に西日本で強烈な強さを発揮する傾向にあるようだ。
その理由については本人にも特に自覚はなく「なんででしょうかねえ」と、複雑な笑みで首をかしげるが、今回の最終日は関西地区の視聴率がなんと16.8%を記録。当週の視聴率ランキングも20位にランクインし、ますます関西人のハートをがっちり掴んでしまった。
会場でも大勢のファンを引き連れ、声援を力に変えた。単独首位に躍り出た大会3日目は、1番、2番バーディ。さらに4番で、中年男性の大声が響き渡った。「今日も幸先よく猛チャージ。遼ちゃんの応援に朝早く起きて出て来たぞ、頑張れ~!」。人目もはばからず、力のこもった応援には「いかにも、関西って感じの方でしたね」と感心しながら、このホールでしっかりと3つめのバーディ奪取。
そして最終日は12番の「9」に、「お客さんからこれ以上なくらい“ドンマイ”という声をいただいて・・・。並ばれてからが勝負と思えたのは、本当にみなさんのおかげです」と、感謝した。
ファンの期待に怖じ気づくどころか、最大限のパワーへと昇華してみせるのが“遼スタイル”。そんな前向きな姿勢が関西独特の雰囲気と、マッチするのかもしれない。もっとも自身は埼玉県出身ということもあり、そろそろ地元でという気持ちも相当に高まっているだろう。「何十年後かには、ぜひ関東でも優勝したい」と3度目の優勝インタビューで語ったが、今の勢いを持ってすれば、本人が言うほどそう遠い話でもないはずだ。
「将来、ゴルフを辞めたときに(関西と関東の)どちらの勝ち星が多いか統計を出してみたい」と石川。その統計には、世界のメジャーも含まれているだろうか。4月のマスターズで夢の舞台を踏んでからというもの、「“夢”が“目標”に変わりつつある」と、石川は言っている。その表情からは、すっかりあどけなさも消え去って、凜とした厳しささえ漂わせる。
経験をその場で即座に血肉にして、驚くべきスピードで階段を駆け上がっていく高校生プロ。
今月には早くもメジャー2戦目を踏む。初めてのリンクスコースで石川は、いったい何を持ち帰るのか。