尾崎健夫 プロフィール
ツアープレーヤーたちの抱腹絶倒<尾崎健夫>
2009/06/08 11:33
ファンのみなさんはもちろん、選手や関係者にことのほか人気があるのが、ジェットだ。尾崎家の次男は他者への心配りが思いのほか深く、その場を盛り上げようというサービス精神にたけている。しかも“天才肌”はその場のインスピレーションで、とっさに飛び出す言葉や行動が本当に面白くて、周囲を楽しませてくれる。“ジェット語録”と呼んで、メモしているものまでいるほとだ。その一部を紹介しよう。
ある日のラウンドのこと。ジェットがアドレスに入ったまさにそのときだった。小さな女の子がいきなり声をあげた。「ママー、ママぁ~!」。親とはぐれてしまったのだろうか。悲しそうな声で呼び続け、いっこうに泣き止む気配がない。誰もがジェットはアドレスを解いて、仕切り直すだろうと思った。が、ジェットはじっとボールを見据えたまま、動かない。しかも、なんとテイクバックを始めてしまった。相変わらず子供は泣き続けている。ジェットはいったい、どこで手を止めるつもりなのか。みなが息を詰めて見守っていると衝撃の事件は起こった。
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クラブをてっぺんまで上げて、ダウンスイングを始める瞬間だった。ジェットが叫んだのだ。「ママは~~~!!」。雄叫びを上げて、フィニッシュでびしっと決め台詞。「どこだあぁぁぁぁ~~~!!!」。一同、大爆笑……。同時に、ジェットの心根の優しさが、垣間見えた場面だった。本当ならひとまずスイングをやめて子供が黙るまで待つか、「静かにして」と声をかけてもおかしくないところだった。しかしそれをすると、女の子の1日は台無しになるだろう。「怖いおじちゃんたちに叱られた」と言って余計に泣いてしまうかもしれない。そんな嫌な空気にするくらいなら、俺は打つ。しかも、そこに笑いの要素まで盛り込んでしまうのだからさすがだ。このほかにも書ききれないほど、抱腹絶倒のエピソードが満載だ。
尾崎3兄弟の中で、もっともゴルフの才能があると言われているジェット。飛ばし、寄せ。苦もなく、何でも出来てしまう。器用ゆえに他の兄弟よりも勝ち星が少ないのでは、とも言われている。ジャンボ、ジョーは永久シード選手だが、ツアー通算15勝のジェットは今年、生涯獲得賞金ランク25位内の資格で参戦。それも今年1年限りの適用だ。毎年、賞金ランキングでシード権を獲得していくしかなく、ジェットをこよなく愛するスタッフ陣は、「特別に永久シードをあげたい。ジェットさんにはずっとツアーに出て欲しいから」という者までいるくらいだ。あの存在感は、誰にも真似出来ない。
先週の「UBS日本ゴルフツアー選手権 宍戸ヒルズ」では右肩痛で棄権するなど、体調が思わしくないようだが、今年も絶対にシード権を確保して、レギュラーツアーで頑張って欲しい。55歳のベテランを応援している者は、星の数ほどいるのだから…!!