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プレーヤーズラウンジ

ツアープレーヤーたちのゴルフ伝道

このオフ、ジャパンゴルフツアー選手会が始めた“ゴルフ伝道の旅"。これまでに、計5選手が全6県を巡った。主に、現在ゴルフトーナメントが開催されていない地域の小学校を訪問し、ゴルフの楽しさや奥深さ、そしてゴルフを通じて夢を持つことの意義を伝えて歩く試みは、子供たちよりもむしろ“講師役"の選手や、引率したツアーのスタッフにとっても目からウロコの連続だった。

スケジュールは学校の3,4時限目にゴルフレッスン、子供たちとの給食を挟んで4,5時限目に講義と、どの選手の場合も大差はなかったがその内容は、個々のキャラクターが色濃く出て、またそれぞれに味わい深かった。

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“先陣"を切った選手会長の宮本勝昌は父・勝雄さんへの感謝の思いをしみじみと語り、普段の明るい性格とのギャップを感じさせてくれたし、ベテラン倉本昌弘は44年の壮絶なゴルフ人生で他を圧倒し、どちらかというといつもあまり口数の多くない谷原秀人が夢について熱く語って、良い意味で大いに期待を裏切ってくれた。

また矢野東はその風貌とはうらはらに理路整然と、かつ説得力のある講義で男気を見せたし、甲斐慎太郎は緊張の面持ちで「こんな大勢の前で話すのは初めて」と打ち明けたが、しどろもどろのスピーチは、その初々しさがかえって子供たちの胸を打ち、「心はいまだ少年」と自認する谷口拓也は、常に“子供目線"の熱血指導で、本職の先生方にも絶賛されたものだ。

子供たちとのふれあいの中で、どの選手たちもそれぞれの個性を発揮して、コースとはまた違った表情を垣間見せ、“参観"する側にとっても非常に新鮮で、どの学校訪問も見応えがあった。

選手たちは、どこに行っても熱烈歓迎で受け入れられた。
それは本人たちにとっても想像以上で宮本は、教室の黒板が自身の資料で埋め尽くされた様子に「僕のことを、こんなにたくさん研究してくれたんだ」と、大喜び。

体育館に足を踏み入れるなり、ブラスバンドの演奏と、歌のプレゼントを受けた甲斐はメッセージ性の強い歌詞に奥歯を噛み、それこそ学校を辞す直前まで握手攻めにあった矢野は、色紙いっぱいの寄せ書きと子供たちが丹精込めて作ったという米10キロなどを受け取って感無量だった。

そんな心のこもった数々の贈り物への「せめてものお礼に」とプロたちは銘々ペンを取ったが、サインを求める数は半端ではなかった。
次々と差し出される下敷きやハンカチ、学習帳……。延々と続く列は、始業のチャイムで中断されない限り、いつまでたっても途切れることがない。
注意深く観察していて分かったことだが、一度サインをしてもらった子が、再び列の最後に並び直し、何枚も何枚もサインをもらっているのだ。
だから、書いても書いても終わらない。

ついに「こんなにサインをしたのは全英オープン以来ですよ!」と、思わず悲鳴をあげた甲斐がこの“からくり"に気がついて、「どうりで…」と、苦笑したものだが、もちろんそれで腹を立てるような素振りはみじんもなく、むしろ無邪気な子供たちに癒されて、ますます張り切ってペンを動かし続けた。

宮本はそんなエンドレスなサイン会のわずかな合間を縫って、持参したボールのサインに追われた。その数、実に10ダース。途中、「腕がつりそう…」と、弱音を吐きながらも「全校生徒みんなに行き渡るように」と、120個ものサインボールをちょうど5時限目が始まる直前に完成させる様子はなんだか職人技を見ているようで、あっぱれだった。

プロとの心温まる交流が、子供たちの何より思い出になったことは間違いないが、それは選手たちにとっても同じだった。
「子供たちは無邪気で素直で本当に可愛くて…。みんなから、逆にパワーをもらった。僕も頑張ろうという気になりました」と言った甲斐の言葉が、他の選手たちの気持ちを代弁している。
「こんなに楽しいものとは思わなかった」と口をそろえた選手たちは「これからも、機会があれば学校を訪問したい」。ゴルフ伝道の旅が今後も良い形で続けられるよう、願っているのはほかでもない選手たち自身だ。
そのためにもまずは“本職"でアピールしなければ……!! いよいよ今週、熱い男たちの戦いが始まる。

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