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プレーヤーズラウンジ

ツアープレーヤーたちのマニアック<藤田寛之>

2008/08/25 10:14

この選手がラウンド中にクサった態度を取ったり、怒りをあらわにしているところを見たという人は、まずいないと言っていいだろう。プロアマ戦で一緒にまわったアマチュアの方から寄せられるご意見でも、称賛と感謝の言葉を受けることがもっとも多い選手の一人でもある。

実は完璧主義者だ。「たとえ優勝できたとしても、自分の納得のいくスイングで勝てなければ喜びは薄い」とまで言うだけに、ゴルフの悩みや葛藤も人一倍で、時には自分へのやり場のない怒りを抱えながらのラウンドであったりもするのだろうが決して表情には出さず、あくまでも心の中だけにとどめておける忍耐強さがある。

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コースでの常に紳士的な振る舞いに定評がある藤田寛之が少年のように目を輝かせた瞬間が、2005年の「全英オープン」に続く自身2度目のメジャー参戦が決まったときだった。8月の「全米プロ」はその前週に、特別承認枠での出場権があるとの連絡を受けて「いきなりのことで、宿の手配やら何やらで大変ですよ!」と、嬉しい悲鳴。折しも6月の虫垂炎の手術から復帰したばかりで、調子のほうはいまひとつだったのだが「世界の檜舞台に出られるめったとないチャンス。断る理由が見あたらない。這ってでも出ますよ!」と、ひとしきりその喜びを語ったあとで、無邪気に打ち明けた。

「・・・いやあ、あと海外遠征で何が嬉しいって、飛行機に長く乗っていられることですね!」。自称・航空マニアだ。「というか、男の子って大なり小なり、みんなそうでしょ?」と、サラリという。幼いころからジャンボジェット機に憧れ、航空関連の専門書を読みあさった時期もあるという。それだけに飛行機の話題になると、たちまち熱を帯びる。
「陸と同じように、空にも“道”があるって知ってます!? 要は、飛行機の通り道をいうんですけど、それを辿って飛ぶから空の秩序は保たれている、というわけなんです。しかもその道には世界共通の名前がつけられていて、どこの航路かは忘れちゃったけど確か“チョコレート”とかいう名前もあったりして・・・。そういうのを知れば知るほど、なんだか楽しくなってきませんか!?」

ウキウキと語るその口調がますます滑らかになったのは、97年の「ワールドカップ」での思い出を語ったときだ。手嶋多一とペアを組んで遠征した帰り道に、なんと飛行中のコックピットに入れてもらったのだという。世情が変わり、物騒になった今でこそありえない話だが、藤田が無類の飛行機好きと伝え聞いた機長のご厚意で実現したという。
「いつか飛行機を操縦してみたくて、免許を取ろうかなと、本気で考えていたくらいでしたから、あのときはもう、ほんとうに感動ものでしたね。このまま世界中のどこまでも飛んでいきたくなるような・・・。感動で胸が熱くなりました」と、振り返る。

「できることなら、いつまででも乗っていたいくらい飛行機が好き」という藤田。米ツアーへの参戦に焦がれるのも「飛行機に乗りまくれるから」というのが、理由のひとつにあるほどだ。それだけに、週末こそ苦戦したものの(68位フィニッシュ)今回、憧れのメジャー大会で堂々の予選通過を果たしての帰り道は、いつもにも増して快適な空の旅であったことだろう。

「全米プロ」のあとさらに2週間のオープンウィークを経て、今週28日(木)に開幕するジャパンゴルフツアーは藤田が18歳まで過ごした地元、福岡県の芥屋ゴルフ倶楽部で行われる「バナH杯KBCオーガスタ」だ。この大会での優勝は、93年のデビュー以来の目標でもある。一昨年は、同郷の手嶋が念願の大会初制覇。昨年は、宮本勝昌が4年ぶりのツアー通算6勝目をこの地で決めて、18番グリーンで弟弟子を労った(=写真左が藤田)。ゆかりの人々に先を越されているだけに、大会に賭ける思いは例年にもまして大きいはず。今年はこの帰国第1戦で悲願を達成して、今度こそ自分が祝福される番…!?



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