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何度もよぎった「引退」 全美貞が3年ぶり涙の復活V

2016/07/17 18:18

「また優勝できるとは、本当に思っていなかった」。2005年のツアー参戦から12年間で覚えた流暢な日本語で話す全美貞(韓国)の言葉には、偽りも、謙そんもなかった。国内女子ツアー「サマンサタバサレディス」最終日、4打差を追って6位から出た全が逆転で、3季振りの優勝を遂げた。

15番までに4つのバーディで首位に肉薄。さらに16番(パー3)ではティショットをピンそば4mにつけてバーディを奪い、1打差に迫った。最終18番で残り119ydの第2打をピンそば3mにつけると、これを沈めて首位に立ち、後続のプレーを待つ鮮やかな逆転劇だった。

年間4勝を挙げた12年には、賞金女王を戴冠。しかし、13年「PRGRレディスカップ」で優勝を飾ったのを最後に、翌14年には右手首の靱帯を損傷。「ひどいときには、インパクト時、手首に骨が割れるような痛みが出る」。右肩にも痛みが出るようになり、苦しんだ。その間、何度もよぎったのが「引退」の2文字だった。

痛みが出ることを怖がり、スイングプレーンにも影響。全盛期にツアー屈指のショットメーカーとして鳴らした精彩あるショットは、影を潜めた。「何をやってもうまくいかない。心はほとんど折れていた」。クラブを握りたくない、試合に出るのが怖い…そんな心境を思い出し、この日の記者会見中には時折、声を詰まらせた。

19歳のころから現在まで14年間にわたりコーチを務める義兄のキム・ジョンチョル(金鐘哲=42)さんが、ツアーに帯同している。韓国に戻って、姉に「ゴルフをやめたい」と漏らしたこともあるが、この日も義兄の励ましが「『まだまだ出来る』って自分を信じてくれた」と、プレーを支えた。「怖かったけど、きょうはケガの痛みも出ていなかったから、思い切ってプレーできた」と振り返った。

「(優勝は)何度も心の折れた私を、神様はかわいそうと思って見ていてくれたんでしょうね」。ようやく、笑顔が戻った。これで通算23勝目。一時はあきらめかけていた「永久シード」獲得まで、あと7勝となった。「夢だと思っていた。辛いことを乗り越えてきょう優勝できたし、これからもまた頑張れば何か起きるかもしれない」。どん底からはい上がった元賞金女王が、息を吹き返した。(茨城県阿見町/糸井順子)

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