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女王へ前進 さくら“欲”を捨てて掴んだ勝利

逆転優勝は、残り2試合となる賞金女王レースでトップに立つことも意味していた。「伊藤園レディスゴルフトーナメント」最終日、10番までに4バーディを奪って通算10アンダーとした横峯さくらは、15番を終えて吉田弓美子と並んで首位に立った。残りは3ホール。“優勝”がキラキラと意識に入る位置だったが、横峯はまったく逆のことを考えていた。

「2位でもいいかな。それなら単独2位がいいな」。横峯のメンタルコントロールの特徴は“OKラインを下げる”という言葉に集約されている。今できることを冷静に見極めて、自分に過度な期待をしない。「あの状況で一番考えたくないのは、“優勝を諦める”ということだと思うけど、そうしないと(首位に)並んであと3ホールとなったときに、どうしてもバーディを獲りたいと思ってしまう」。それは、OKラインを上げること。そうなれば、無理や無謀なショットを選択することになりかねない。

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吉田が17番でボギーを叩き、1打リードして迎えた最終18番。ティショットをフェアウェイに置いた横峯は、グリーン左の池近くに切られたピンを前に、また自らと対話した。その結果出した答えは、「とりあえず載ればOK。3パットでプレーオフでも仕方ない」。

2年前の大会では、同ホールで2打目を池に入れて優勝を逃している。「いつもなら、絶対にピンを狙って、少しでも寄せてパーを獲りたいと思ったはず」という状況も、今の横峯は“欲”を切り捨てる術を学んでいた。結果、グリーン右手前の安全なところに載せて、ファーストパットを30センチに寄せてパーセーブ。ただ1人の二桁アンダーとなる通算10アンダーで、価値ある勝利をたぐり寄せた。

この優勝で賞金1,620万円を加算した横峯は、獲得賞金を約1億1,901万円として賞金ランキングでは今シーズン初となる首位に浮上。2位の森田理香子との差も約1,169万円と水をあけた。「残り2試合で、逆に私は追われる立場になる。状況的にOKラインを上げてしまうのは仕方ないけど、そこに気付くようにしていきたい」。

残り2試合の会場も今大会同様に優勝経験のあるコース。2度目の賞金女王タイトルが、俄然現実味を帯びてきた。(千葉県長南町/今岡涼太)

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