秘密兵器9番ウッドを永峰咲希が入れる理由 「夏だから」の四季折々クラブセッティング
◇国内女子◇資生堂・JAL レディスオープン◇戸塚CC西C(神奈川)◇6766yd(パー72)
5年ぶりのタイトルがかかる最終日を首位タイで迎える永峰咲希。今季は14試合に出場してトップ10が3回、予選落ち1回という安定した成績を収めている。
そんな30歳のクラブは最近、上の番手の構成が変わっていた。「1W、3W、7W、5U、6U」と入れていたのを、「1W、3W、9W、5U、6U」と7番ウッドを9番ウッドにしたのだ。女子プロでショートウッドといえば、西村優菜や青木瀬令奈などの名前が思い浮かぶが、9番まで入れている選手は意外と少ない(そのロフト帯はユーティリティ派が多い)。その理由を聞くと、一言「夏だからです」。なんだなんだ、謎かけできたぞ。
夏といえば暑さ対策? 暑さではクラブを替えないか。夏は芝が元気ということ? 「惜しい!」と永峰。あ、分かっちゃった。ラフだ。夏はラフが元気? 永峰は首を縦に振った。
「衣替えじゃないですけど、春先は強い球が欲しいから7番のほうが便利。でもラフが元気な夏は9番がいい。ショートウッドだとラフからソールも滑ってくれるし、引っかかりも少ない。ユーティリティはやっぱり引っかかりやすいですからね。パー5の2打目がラフにいっても、9番ならグリーンの近くまで持っていける」
さらに、フェアウェイからでも9番ウッドにメリットを感じているという。「7Wはけっこう前にいってしまう時があって、距離を落とすのが難しい。7Wで頑張って距離を落とすことを考えるなら、そもそも9Wでいいんじゃないかって。上からも打てますし、高さも出せます。前に行く球はそもそも自分で作れるので」と、その万能性に気づいたようだ。
9番ウッドを入れたのは2009年モデルの「『R9』以来(笑)」と、永峰にとっても新鮮な様子。モデルはテーラーメイド「Qi35 フェアウェイウッド」のコアモデル。ネックは市販品にはない接着式で、完全なるプロトタイプだ。リアルロフトは23度と少し立たせていて、距離の階段を合わせるために7Wと同じ長さにしている。
夏になったら夏のクラブに。四季折々のクラブセッティング。年間を通して戦うプロのこだわりは、実におもしろい。(横浜市旭区/服部謙二郎)
※パー3の距離など、コースによって7番ウッドに戻す可能性もあり