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QTランク114位の7年目に悲願 小滝水音「私は運がいい」

◇国内女子◇大東建託・いい部屋ネットレディス 最終日(23日)◇ザ・クイーンズヒルGC(福岡)◇6540yd(パー72)◇曇り時々晴れ(観衆3120人)

小滝水音(こたき・みお)のシンデレラストーリーは、4番(パー3)のバーディから始まった。15mのロングパットがカップに消えた。後半12番(パー3)からは5連続バーディ。13番ではバンカーから30ydを放り込んだ。

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「ビックリしました。(バンカーからの)チップインは距離があって飛ばさないと、と。『いい感じ、寄ったかな?』と思ったら、大歓声が上がって…」。前日の悪天候で順延された第3ラウンドが最終ラウンドになり、最終組の首位スタートで7バーディ、1ボギー「66」をマーク。「水のせせらぎ」に由来する名前とは裏腹に怒涛の勢いでライバルたちを突き放し、1998年度生まれの“黄金世代”で13人目のツアー優勝者になった。

7月7日午前7時11分に生まれた。縁起のいい数字並びもあって「私は子どものころから運がいいんです」と笑う。少女雑誌の懸賞に応募してストラップが当たった。実家から車で40分の茨城・静ヒルズCCにジュニアレッスンで通っていたら、同コースで男子ゴルフのレジェンド中嶋常幸がアカデミーを開設。巡り合わせも手伝い、1期生になった。プロテストも2017年に一発合格。だから、「運がいいと思うようにしています」

プロ7年目の25歳は不運とも付き合ってきた。高校1年で優勝した勝みなみ畑岡奈紗小祝さくら渋野日向子も…。活躍する同世代を見て「すごいなと思っていた。正直、焦りもあった。でも、彼女たちができるんだから、私にも夢じゃないって思っていました」と明かす。

初めてツアーにフル参戦した2019年の4月「ヤマハレディース」で首を痛めて棄権し、その後は10試合連続予選落ち。「どん底でした」というシーズンは出場35試合で予選落ちが21試合を数えた。同年オフ、日本女子プロゴルフ協会主導のオーストラリア・キャンプに1カ月参加。かつて日本ツアーで戦ったメンタルコーチのジェニファー・セビル氏と出会い「あなたは楽しくプレーした方が力を出せる」と教えられた。

昨年はシーズン途中に左ひざを痛め、9月の下部ツアー「山陽新聞レディース」に出場するため向かった岡山ではぎっくり腰に。同年QTは最終にも進めずQTランキング114位となり、今季はほぼレギュラーツアーに出られない立場に追い込まれた。

「それでも、運が悪いと思うより、運がいいと思った方がいいじゃないですか?」。前向きさが流れを変えたのか。主催者推薦で参戦した6月初旬「リシャール・ミル ヨネックスレディス」の8位に入ってポイントを稼ぎ、第1回リランキングで43位に浮上。6月下旬からツアーに出られるようになり、今大会が出場4戦連続4戦目だった。

セビル氏の教えもあって、泣かずに笑顔で迎えた歓喜の時。「実感が湧かないんです。自分でも不思議な人って思います」。同世代でツアー屈指の“ゆるキャラ”小祝に「こたっきー(小滝の愛称)は、かなり“ゆるキャラ”ですね」と言わしめるキャラクター。「え? そう言ってたんですか?」と大笑いした小滝は、次週を予定通り欠場。昨年オフから本格的に取り入れたトレーニングで鍛えた体をいったん休め、8月4日開幕の「北海道meijiカップ」からツアー優勝者としてコースに立つ。(福岡県糸島市/加藤裕一)

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