フォトグラファー奥田泰也 フォトギャラリー
緊張から解き放たれて 2022年ベストショット3選【奥田泰也】
コロナ禍を経て、徐々に日常を取り戻した2022年。国内外とも主要ツアーは一部を除き、スケジュール通りに開催された。緑の芝を闊歩(かっぽ)し、暑さ寒さ、風に雨と自然とも闘ってきたフォトグラファーたちが切り取ってきた光と影。その一瞬にスポットライトを当てる。GDOとともに旅を続けたプロフェッショナルが選んだ今年の3枚。第3回は奥田泰也カメラマン編。
<樋口久子 三菱電機レディス 最終日 金田久美子>
■11年ぶり優勝、涙、涙、涙の優勝
「すごく重い優勝。初優勝より(2011年フジサンケイレディスクラシック)、今回の方が正直うれしい」。帯同してくれているマネジャーさんや、応援してくれるファンの支えもあり、ウイニングパットを決め、涙、涙、涙。ギャラリーも温かい拍手を送った。
11年という月日は長い。初優勝してから不調に陥り、「恥ずかしいゴルフをするならやっていてもしょうがない」と、自分との葛藤もあった中でもぎ取った優勝。諦めずにコツコツやればきっと結果はついてくるといったことが我々にも伝わった。コロナや戦争、自然災害など暗いニュースが次々に入ってくるこのご時世、関係者、ファンも関係なく感動を与えてくれた涙だった。
<東建ホームメイトカップ 最終日 桂川有人>
■優勝者を背に、笑顔で去る
ツアー1勝の香妻陣一朗と初優勝を狙う桂川有人が通算14アンダーでプレーオフに突入。1ホール目でバーディを決めた香妻に軍配が上がった。それでも、最終日での優勝争いは初めてで、負けた悔しさよりも経験値が上がったことが喜びとなった。戦いが終わり「相手が強かった」と勝者を称えた事も清々しい。
天気は雨模様でどんよりしていたが、笑顔でコースを後にしてグリーン上は爽やかな雰囲気が漂った。国内男子開幕戦、感銘を受けた1枚だった。
<宮里藍 サントリーレディス 最終日 藤田さいき>
■勝負の一打を外して座り込んだ1シーン
11年ぶりのツアー6勝目がかかっていた藤田さいきは、最終日、単独首位でスタートするもスコアを落として山下美夢有に逆転優勝をさらわれた。「勝ちたかった」と悔しさをにじませたが、「下手くそですけど、その中でもそれなりに戦えるゴルフだった」と惜敗の中にも、確かな手応えをつかんだ。
黄金世代、2000年以降に生まれた選手が次々と出てきている中でベテランと言われる選手の活躍が目を引いた。負けはしたものの、ギャラリーから大きな拍手に笑顔を見せた1枚となった。