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「もう自分は勝てない」苦境乗り越えた渡邉彩香が涙の復活V

◇国内女子◇アース・モンダミンカップ 最終日(29日)◇カメリアヒルズCC(千葉県)◇6622yd(パー72)

涙とともに苦悩の日々が走馬灯のように頭の中を駆け巡る―。トップと4打差4位から出た渡邉彩香は、通算11アンダーで並んだ鈴木愛とのプレーオフを制した。2015年「樋口久子 Pontaレディス」以来となる5年ぶりの復活優勝に涙した。

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ウィニングパットは「『入れる』というよりは好きな(下りのスライス)ライン」。4mを沈めパターとともに左手を天高くつきあげた。2013年から5年間守った賞金シード権は18年に賞金ランキング55位、19年に同115位と喪失した。「もう自分は勝てないんじゃないか」。そんな思いがよぎった。

稀代の飛ばし屋が苦しんだ理由は極度の1W不振。「自分の一番好きなクラブが気持ちよく打てないこと」。2016年リオデジャネイロ五輪代表は選考締め切り直前の海外メジャー「全米女子オープン」最終日最終ホールで池に入れダブルボギーとし僅差で逃した。「(この時期に)もっとこうしたい、ああしたいと自分に足りないところばっかりが浮かんできた。ストレートっぽく打ちたいとか、そういうのが迷いに繋がった」。17年夏にはっきり自覚した1Wの異変は他クラブにも連鎖していった。

昨年の「宮里藍サントリーレディス」では初めてキャディバックからドライバーを抜いた。「自分からドライバーを取ったら何が残るんだ」。葛藤する気持ちを沈め「ドライバーが好きなのは変わらないから打ちたくなる。またそこでマイナスなイメージがつくことの繰り返し」と覚悟を固めた。

紆余曲折の末、たどりついたのは原点回帰だった。「やっぱり私はフェードじゃないとダメなんだ。その球を打っている自分が一番気持ちよくプレーができている」。過去勝利を挙げた球筋に戻す。「フェードの質をもう一段上げられるように。プレッシャーがかかる場面でも左にだして右に打つような練習を徹底した」と励んだ。

賞金女王を破る劇的な勝利後に口にしたのは21年に延期された東京五輪への想い。「もともと東京オリンピックを目標にしていた。リオが外れて悔しい気持ちもあったので晴らしたい。来年に延期になったのも何かあるのかな。いまはかけ離れてはいるけど、出来る限り一生懸命頑張ろうと思います」。苦境を乗り越えて手にした26歳の経験はさらなる進化につながっている。

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