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畑岡奈紗 渋野快挙に揺らいだ自尊心

◇国内女子メジャー第2戦◇日本女子プロ選手権大会コニカミノルタ杯 最終日(15日)◇チェリーヒルズGC(兵庫)◇6425yd(パー72)

20歳の畑岡奈紗が国内メジャー3勝目を最年少で達成した。2打差の単独首位から出て1イーグル5バーディ、2ボギーの「67」で回り、2位に8打差をつける通算18アンダー。前年優勝者の申ジエ(韓国)が出した大会最少ストローク記録(272/通算16アンダー)を2打塗り替えた。

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たくましくなった体と腕が、世界ランキング9位へと上ってきた力が、自らの立ち位置を証明した―。海外メジャー「AIG全英女子オープン」を制した同学年の渋野日向子、海外メジャー7勝で元世界ランク1位の朴仁妃(韓国)が出場した今大会。ただひとり4日間60台を並べ、最後は誰も寄せ付けず圧勝した。

フォン・シャンシャン(中国)らとの最終組。2mにつけたスタートの1番、6Iで2.5mに寄せた2番と2連続バーディを奪った。序盤に独走態勢を築くと、集中力はさらに研ぎ澄まされていく。「20アンダーを目指す。スコアだけを目標にしている方が、私は集中できるから」。大差で完勝することが多いゆえんをそう明かす。後半15番、70ydの第2打を直接入れてイーグルを奪い、やっと頬を緩めて拳を握った。

「ドキドキが落ち着いたのは15番。最後も池が絡むので気は抜けなかった。日本一を決める大会といっても過言じゃない。たくさん良い選手がいる中で勝てたのはうれしい」

勝つべくして勝つ理由がある。3月「キア・クラシック」で米ツアー通算3勝目を挙げた。世界ランカーとして樋口久子以来42年ぶりとなる海外メジャー制覇の期待を一身に背負った。ただ、それ以来勝利に見放され、形勢が変わる。それもわずか1試合で。初の海外挑戦となった「全英」で優勝した渋野がまばゆい輝きを放つ。米国での苦悩が脳裏に浮かび、プライドが揺らぐ。

「今年はなぜか(海外)メジャーだけ、うまく調子を合わせられなかった。前の試合でうまくいっても、メジャーに持っていけないというのがあった。意識しすぎたと思う。日向子ちゃんが勝ってすごく悔しかった」。母・博美さんは「渋野さんの優勝が嫌ってことじゃ、全くないんです。誰かのせいじゃないこともわかっている。でもスポーツ選手で、メジャーのためにやってきた。悔しさはあったと思うんです」と補足した。

国内ツアーでの生涯獲得賞金額1億円に17試合目で到達し、宮里藍の27試合目を大幅に更新した。20歳245日でのメジャー3勝目は諸見里しのぶが持つ23歳59日の記録を抜いた。2016、17年「日本女子オープン」に続くメジャー2冠でも、チョン・インジ(韓国)の21歳55日を抜く年少記録を打ち立てた。「記録は意識していなかった。ただ、20アンダーに届かなかった。そこはちょっと悔しいです」。笑みを浮かべ、貪欲に語った。

次戦は優勝した17年以来となる国内ツアー「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」に出場する。「先のことを考えすぎずに1試合1試合やっていきたい。今やっていることは先につながっていく。今を大事にしていきたい」。記録的な国内メジャー制覇から、20年の海外メジャー、東京五輪へ。夢を現実にする道筋を、今は母国でしっかりとつくる。(兵庫県三木市/林洋平)

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