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妻の故郷・福島で ウェイティングから今季初出場の高橋竜彦が好発進

国内男子ツアーの「ダンロップ・スリクソン福島オープン」が31日(木)、福島県のグランディ那須白河GCで開幕。この初日に急遽出場が決まった高橋竜彦が、今季のレギュラーツアー初戦で「67」をマークし、単独首位の手嶋多一に3打差の4位タイで滑り出した。

あきらめた直後に、吉報が舞い込んできた。早朝5時30分。まだ人もまばらなクラブハウスに姿を見せた高橋は、ウェイティング(待機選手)1番手として、わずかな出場チャンスをうかがっていた。待てど暮らせど、来ない知らせ。しかし30℃を超す暑さの中、「もう今日は練習して帰ろう」とドライビングレンジで大量のボールを打ち込んでいた午前10時半過ぎ。星野英正の体調不良による欠場が決まり、出場フィールドに滑り込んだ。

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午後0時5分スタートの組は、藤本佳則松村道央とのペアリング。2006年に国内メジャー「UBS日本ゴルフツアー選手権宍戸ヒルズ」を制した40歳も「旬の選手とのところに入れて、前後もいい選手の組。震えるくらい緊張した」という。それでも2メートルのチャンスを活かした前半13番から2連続バーディを先行させ、彼らを終始リードしてプレー。「マグレです。マグレ」と大汗をぬぐう姿は、照れ笑いでいっぱいだった。

2011年末でシード権を喪失し、昨年のQTを3次で落ちた高橋は現在、チャレンジトーナメントの出場権を得るのも難しい身分。だが東日本大震災後、初めて東北地方で開催されたこの国内男子ツアーの新規大会には、人一倍の思い入れがあった。

妻の女子プロ、牛渡葉月は福島県南相馬市の出身。地震発生直後、わずかな時間だけつながった電話先の義理の両親は、自動車で高台に逃げている最中だった。数日後に無事を確認できたが、実家から400メートル離れた海岸沿いの集落は津波にのみ込まれた。

義理の父は、地元で行われる伝統の祭り「相馬野馬追」に50年参加している郷土の人。高橋は前週、自宅のある千葉からその姿を見るために南相馬を訪れた。そして帰り道に今大会の開催コースで練習ラウンドを敢行。今月行われた予選会も通過できなかったが、わずかな可能性にかけた思いが、ギリギリのところで実を結んだ。

ここ数年、キャディに妻を据えて二人三脚でレギュラーツアー復帰を目指している。熱中症も懸念される気候の中、牛渡はタオルを凍らせて夫をサポート。「やっぱり福島で出たかった。急に出られるとは…」と、幸運に感謝した。「もう1回、ツアーでやりたい気持ちを持っている。だから練習も、トレーニングも欠かさずやっている」と高橋。陰の努力と偶然とが絡み合った一日を、奇跡のはじまりにする。(福島県西白河郡/桂川洋一)

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